12/30(木) 駐車場 8:50発 二俣手前のテンバ 14:10着
12/31(金) テンバ 6:00発 登攀開始 7:30 F10登攀終了、懸垂開始 15:30 テンバ 20:20着
1/1(土) テンバ 8:45発 駐車場 12:40着
◆K藤U司
天気は神様が決めることで、予報士の予報が悪くはずれれば、ときとして恐ろしい目に遭うし、良いほうにはずれればそれはそれでラッキーということだ。塩沢での三日間は予報がはずれて良い天気となり楽しい遡行をたのしむことができました。
なにより、あれほどに見事な氷の回廊にはそうめったにお目にかかることはない。そして、その回廊の奥に密かに築かれた壮麗な氷の宮殿はここまで来たものだけが目にすることができるものだ。
昨今、巷では夜になるとLEDの電飾がにぎやかで街行く人がそれをきれいだなどといっているのを聞くが、わたしはそこに何がしかの美しさや安らぎのようなものを感じることはまずない。
真っ暗になった下降途中、凍った滝の上でふと振り返って頭上を仰ぐとそこにはカシオペヤやアンドロメダそれにペルセウスの姿があった。古代ギリシャの美女や英雄の姿はわたしが今、自然の真っ只中にいるのだということをおしえてくれた。
なによりその青白い星辰の輝きは夜気にふるえていた心を暖かくしてくれた。もっとも最後の懸垂に近づいたとき遠く眼下に見えた伊那か駒ヶ根あたりの街の灯かりも実はちょっぴり安心を与えてくれたけどね。人間というのはそんなものだ。
いつかまた寒い冬が巡ってきたら塩沢にきて陽光に輝くあの氷の宮殿を訪ねてみよう。ちょっぴり飲みすぎた仲間といっしょに。
◆N島昇
駐車場からテンバまでは途中までは林道が続く。堰堤を乗り越えるときは階段が凍り付いているのでかなり怖い。手に持っているバイルをザックにしまって、両手をフリーにして臨みたい。
渡渉を繰り返し、右岸を数多くトラバースする。雪の中に埋まっている一枚岩で滑りやすくいやらしい。重荷だとかなり疲労する。
右俣の登攀でめだった滝はF2、F3、F5、F10の4つ。F2はトポには70度とあるが、もっとあるように感じる。F3も同様に難しい。
F5の斜度はさほどないので易しく見えるが、今回登った時はスクリューが全く効かず絶対に落ちることが出来ないシビアな登攀を強いられた。F10はもっとも難しい。バーカル以上の部分がある。
帰りは、往路フリーで超えた滝も懸垂下降で帰る。
今回の山行はキツかった。雪を踏み抜いたり、渡渉でこけたり、岩で滑ったり。冬の沢の遡行初体験と言っていいだろ。本格的なアルパインアイスは初めてだったから、厳しかったのかもしれない。帰宅してからすぐにぶっ倒れたし、翌日はケガが痛くて半日は動けなかった。
今回のアルパインアイスはいろんな課題をつきつけてくれた。渡渉、沢の踏み抜き、実地に学ばなければならないことは多いが、後半バテてふらついたことから、まだまだ普段の体力トレーニングの準備不足を感じた。
F5のピッチをリードしたが、見た目なんてことなさそうなピッチも怖かった。氷がグズグズでスクリューの支持が全く期待できなかったからだ。これがアルパインアイスの怖さだと思う。絶対に落ちないと確信できるクライミング技術がなければ取り付かない方がいいだろう。まだスクリューのセット、フィフィテンションも下手だし、氷を読む目も経験不足なのだから。
細かい部分での装備の甘さも感じた。無用にミトンのゴムが長すぎてしょっちゅう木がスクリューに引っ掛かったり、インナーを干すためのカラビナを用意していなかったり、挙げればきりがない。次回までに修正しておきたい。
◆S口M恵
12月に山にあまり行かなかったので寒さに体が慣れぬまま参加したので不安だったが、大荒れのはずの予報がはずれて穏やかで暖かだったのでラッキーだった。前回の記憶ではベースまでのラッセルがとてもつらかったが、今回は先行者がいてそれほどではなかった。ただし途中の堰堤越えのハシゴ登りが完全にバーチカルで重荷を背負った身には核心だった。
ルートは難度が高い右俣を登ったのだが、氷があまり固くなくバイルが決まりやすくて助かった。3日間強力な男衆にいろいろ助けられ無事に怪我なく降りてくることができた。ありがとうさんでした。
◆S藤H明
予報に翻弄されて、岳沢から塩沢に転進しましたが、生憎、天気は良かったです。塩沢は右俣を登りましたが、左右とも、今回で、二回づつ登りましたが、その都度、表情が違っていて、とてもよいルートです。
右俣ハイライトのF10は、巨大でモノ凄い威圧感、氷柱の付け根が痩せていて、ハングのツララをトラバースしながら上に登るといった恐怖の登攀・・一瞬!足ブラになって息を飲みました。
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