■メンバー
LA久T也、S山W、S藤D介
■タイム
9月18日
7:30 畑薙ダム バス出発 – 8:30椹島着 – 9:00椹島出発 – 9:30 倉沢出合 – 15:30 ゴルジュE手前 (幕)
9月19日
5:30 出発 – 9:30巻き終了(二俣上部) – 13:00支流へエスケープ – 14:30 登山道 – 16:30 椹島
●1日目
前夜2時半に畑薙ダム入りし、寝酒飲んで仮眠。東海フォレストの7時の臨時バスで1時間ほど悪路に揺られ椹島へ。
ここから大井川本流沿いに下降する途中、渡渉を何度か繰り返すが、雨が少なかった為か水勢にも威圧感はなく、簡単に通過していく。壊れかけたつり橋の下を通過したら、間もなく右岸から倉沢が出合う。
砂利が堆積した、どちらかというと無味乾燥な出合の奥には、早速薄暗いゴルジュが覗いている。
沢を始めたばかりの大介は、いつも通り明るく振舞うが、事前にネットで情報収集をしていたようで、これから始まるゴルジュの遡行に少々緊張気味の様子。
この谷は出合から二俣までの間、AからEまでの5つのゴルジュで構成される。モノの本には6級とグレードされているが、それは全て水線通しに突破したらの話。
南ア最悪にして最強と言われるそのゴルジュをいつかは覗いてみたいと、ずっと密かにあたためてきた。今、やっとその入口に立っている。
谷は南アらしい鬱蒼とした森林に光をさえぎられ、磨かれた黒い岩が鈍く光っている。全体的に暗く陰惨な感じで、早くも悪渓の雰囲気を演出している。
【ゴルジュA】
短め。思ったより細い渓だが水勢は強い。今回、3人ともアクアステルスだったけど、ここの磨かれた岩は思いのほかよく滑る。側壁をヘツリ気味に進み、倒木を利用して滝を越えたり、巨石をボルダーチックなムーブで越えたりと、まずはしょっぱめのウォーミングアップが続く。
これで水量が少ないとなると、通常の水位だとどんな困難な遡行になる事やら。
【ゴルジュB】
前半は低いながらも直登不可能な滝が続く。ツルツル岩を空荷トラバースしたり、巻いては懸垂で降りるもロープさばきでバンバン石は落ち、一筋縄にはいかない。
片側ハングのトイ状ゴルジュなど、正面突破は出来ない箇所が多いが、側壁登攀は快適。
【ゴルジュC】
そろそろ本番。渓相は厳しい表情になってくる。滝が連続し、へつる、またぐ、突っ込むといった感じの激流突破系。ゴルジュ出口には支流戸間ノ滝沢、沖ノ滝沢が100m滝を落とし圧巻。
【ゴルジュD】
ヒョングリ滝くぐりからスタート。冷たいシャワーをたらふく浴びて、滝を越えると何だか生臭い。と、そこには鹿の屍。
こんな不快なところは早く立ち去りたいが、目の前は登れない滝。ロープを出し側壁をトラバースして滝上へ。天久がリードを買って出るが、実は早く死体から離れたかっただけ。だって臭いんだもん。
ヒトマダギのような渓を越えると幅広滝にぶつかる。右側のチムニーにルートを取ろうとロープ出して取り付くと、滝の正面にリングボルト発見。なーんだ、滝直登出来るのかと思い、方向転換するが細かなスタンスに乗っかった後、落ち口はツルンツルン。これは登れんでしょっ。リングボルトに騙されて敗退し、弥君にリードをバトンタッチ。
結局チムニーをツッパリで登り、ザレザレの斜面をランナウト気味に巻き上がる。バンバン落ちてくる落石にビレイヤーは気を抜けない。最後は懸垂で沢に復帰。
その後も突破不能なCS滝が続き、右岸チムニー状ルンゼから巻きに入る。ヌメヌメルンゼはロープ出してトラバース、ザレザレクライムダウン、懸垂で滝上に降りたら15:30。都合よくゴルジュE手前に川原があったのでここで幕。不意の雨に備えて側壁に脱出用のロープをFIXしておく。
●2日目
【ゴルジュE】別名トンネル状ゴルジュ
しょっぱなから、取り付くしまの無い直瀑10m。記録では皆左岸巻きだけど、地形図を見ると右岸の方が屈曲ゴルジュのインコースなうえに、緩やかな尾根へ向かっている。現場を見上げた感じも傾斜は強いがブッシュもつながっているので問題はなさそう。協議した結果、ここは一発右岸巻きのオリジナルラインを引く事にする。
結果、左岸の記録2時間に対し、我々は右岸で4時間を要した。剥がれる岩のリッジ、地形図には無い深いルンゼ、木登りが続き、登攀4ピッチ、懸垂2回。
時間は掛かってしまったけど、人の記録にもトポにも頼らず刺激的な高巻きを満喫。悪い登攀が続くがルーファイはかなり楽しめる。
降りたところは二俣の上部だったので、ゴルジュEのトンネル具合を見に行く。轟音の先に口をあけたゴルジュを見おろすと、瀑流は足元から洞窟のような真っ暗な空間に落ちていき、ゴルジュ全体を唸り声のように低く響かせていた。見ていると自分まで吸い込まれる様な錯覚に陥る。まさに異次元空間。
【上倉沢】
核心部を越え、二俣を過ぎると上倉沢も穏やかになるかなー、と想像していたが、ゴルジュはまだ続く。直登不可能なトイ状で落差のある滝が連続するが、右岸の樹林帯をあっさりと滝見しながらまとめてパス。
途中、弥君が滑り台状のジェードルにロープを延ばす。こんなツルツル良くいくね。結構なランナウト。手が欲しい所に潅木、と思いきやトゲトゲのイバラだったりして痛い登攀。
20m直瀑を右岸のガリーから尾根を越えて巻くと、沢もやっとおとなしくなり、平凡な流れとなる。弥君言うには奥多摩の沢みたいだって。
時間も押してきたし、倒木も増えてきてその後の遡行価値も?かな。という事で支流から登山道へエスケープし最後はあっさりと倉沢遡行を終了した。
椹島では安い小屋に入り、風呂上りに楽園のような芝生のサイトのテーブルを陣取りビールをたらふく飲んでおしまい。
D介いわく、ドヒャーな沢でした。
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