甲斐駒ヶ岳 赤石沢奥壁 ダイヤモンドフランケA 赤蜘蛛ルート 2015/10/3-5

アルパイン(夏)

メンバー: N村L、T橋

行動経過:

10/3(土)
07:40 北沢峠 ~ 10:00 駒津峰 ~ 11:00 甲斐駒ヶ岳山頂 ~ 12:00 八合目岩小屋 ~ 14:00 昼寝 ~ 14:30 七丈小屋にて水摂取 ~ 15:00 八合目岩小屋

 

10/4(日)
04:00 起床
05:40 八合目岩小屋発
06:40 基部到着
07:20 登攀開始
08:15 1p目 着  ※最終ページ掲載トポの赤字での追記部に準ずる
09:40 2p目 着(=トポオリジナル2.5p目)
11:00 3p目(=トポオリジナル4p目、大テラス) 着 11:40
12:25 4p目 着(=5p)
14:30 5p目 着(=6p)
16:10 6p目 着(=7p)
16:50 7p目 着(=8p)
17:40 8p目 (=9p)、Aフランケ頭の岩小屋 着
18:35 八合目岩小屋 着

 

10/5(月)

下山のみのため省略

 

■1p目 (リード:T橋) 25m A1

1ピンめ、朝イチからハングの乗越し筋トレムーブ、に続くフェース。だというのにリーダー、フリーで行きたいから2ピンめのプロテクションを回収して飛ばせとのご依頼。どうもアブミルートをフリーで行くというトライアルをしたいらしい。いや、2ピン目飛ばすの怖いんですけど・・・。ぶつぶつ言いながら左上していく。ちなみに懸案のA0突破トライアルは、プロテクション回収が難しくフォールに終わった模様。(T橋)

 

フォローであることをいいことに、せっかくだから2回めの挑戦ということもありフリーでチャレンジさせて頂く。フリールートはあぶみルートからカンテを超えた場所からスタート。リードの高橋さんにはムリを言って下部のピンを外してもらう。朝一の一発目に荷物をしょってのボルダームーブはやはりきつい。ドーンウォールを攻略中のトミーコールドウェルの気分でトラバースをするがやはり厳しいっ!寒さもあり手の間隔がすぐになくなり、かつ2ピン目だと外すのに手こずってしまいフォール。次回は3ピンまで外して下さい!(N村)

 

■2p目 (=トポオリジナル2.5p目まで)  (リード:N村)  5.8 55m

IMG_1305

DSCN3893

オリジナルトポのコーナークラック(5.8)から、3p目のフィンガークラック(5.10b)へ。

 

40m地点にボロハーケンで作られたハンギングビレイ支点があるが、その上部15mにあるましなリングボルトの支点まで伸ばして切る。フォローで登っていくと、楽しい5.8クラックが突然恐怖のフィンガークラックに変わり、驚く。リードは15m伸ばし、マシな支点を選んで難クラックをこなすか、その逆か・・・パーティーでの力関係が反映されるポイントです(?)(T橋)

 

2p目のオリジナル終了ポイントの支点を超えた瞬間から左のフィンガーラインにトラバースするポイントは、クラックが泥に詰まっていることもあり厳しい。長い足を更に無理やり伸ばしてなんとかクリアできたが、これホントに10bか?10d位な感覚です。(N村)

 

■3p目(=トポオリジナル4p目)(リード:T橋) A1~Ⅳ 40m

IMG_1315

右の凹角ハング沿いがボルトラダー。左のスラブがエイド不可のフリーのライン。迷わずアブミでハングを左上して乗越す。2pめをトポの2.5pめまでつなげると、次は大テラスまで伸ばした方が効率的。との指示に従い、今度は右上し大テラスまで。支点はテラス端にいい具合の立木がある。フォローは大きなフレークにマッチして登ったところ、フレークが剥がれフォール。アルパインでマッチは危険ですね・・・。それにしてもフォローでよかった。(T橋)

 

これも直登ルートの凹角をステミング駆使して登ってみるも、またも左上するトラバースライン。またもやトミーな気分でやってみるが耐えれずテンション。難しい。またハングを超えた箇所から簡単になるが、フォローであることが油断して雑な登り方をしてしまい、上記の通りフレークが剥がれてフォール。反省です。(N村)

 

■ 4p目 (=5p) (リード:N村)  5.7 25m

快適なピッチ。凹からスタートしてテラスの上に立ち上がると、開放的な空間、見上げると核心部のクラックが全貌を現す絶景スポット。(T橋)

 

■ 5p目 (=6p) (リード:高橋)  35m AA1

IMG_1347

核心部、垂壁の直登クラック。凹角に開かれた巨大な岩壁が頭上にそそり立ち、青空へとすっきり伸びる幾筋のラインに
、思わずあんぐり口が開く。確かに美しい。そしてただならぬ威圧感。

・・・アブミなのに、怖い。

 

リーダー 「ここ、行こうか?」

リーダー 「カムは持ってく?」

リーダー 「実は、ピンがあるかがちょっと心配なんだよねー。よく見てみて」

との問いかけに、カムフルセットを携えて、自分で行きますと答えたものの、

それが試練へのヒントだというのには、まだ気づいていなかったのであります・・・。

 

わけもなく緊張して離陸すると、最初の数ピンがすでに遠くアブミ最上段、または、さらにチョンボ棒お出ましの間隔。が、10分ほど登り、わずかにハングした段差の部分を見上げると・・・

 

「ぎゃー!ピンがなーーいーーーー!!!!!」

空中の衝撃。私、このセクションがアメリカンエイドになり、グレードが上がっていることに気づいていませんでした・・・。

おそらく上部10(~15?)メートル続くフィンガークラックには、2-3mおきにたった3か所の怪しげなプロテクションがあるのみで、カムの番手もおぼつかないのに、練習し損ねていたカムエイドをぶっつけ本チャンで実践する羽目に。

 

覚悟を決めて、50センチおきのカムエイドをスタート。#0.4と#0.3の各2セットで粛々と前進するが、すべて回収しなければならないため、絶えず3か所にカムを入れておくことにした。クラックは時折幅が広がり、#0.5、#0.75、#1がバチ効きサイズ。3か所ある残置のプロテクションは、誰かのすり減った残置カム、豪快に千切れた元リングがついたままのボルトにボロスリングと細引き2本がタイオフされたもの、最後は謎の 金属ブロックに色褪せた細引きが結ばれたものだったが、前進用のカムしか持たない状況では本当にありがたい。

DSCN3926

AAパートを越えた上部で、フリーのラインと合流すると同時にボルトラダーに再会する頃には、20セット超あったヌンチャクも残りわずかとなったが、カムを遠めにセットすることもできるようになってきていた。右上数メートルで、フリーのラインとのクロスポイントにある、リングボルト3つのハンギングビレイ点に到着。スリングを芸術的に結び合わせ、左右にアブミ掛けポイントが、セルフビレイの上部にはフィフィのセットポイントが作ってあった。フィフィで体を支え、セルフにロープを置くと作業がしやすくなっていて、先人達の工夫と配慮に、妙に感心する。気づけば1時間半経っていた。見下ろせば、たった35mとは思えない凄まじい高度感。前進用のカムを、ロープを伝ってフォローに送る。フォローは相変わらずA0トライで上がってくるが、やはりかなり難しそう。この間にみるみる日が陰り、薄ら寒くなってきた。(T橋)

 

色々な特徴をお伝えしたうえで、「このルートリードしますか?」の問いに、「行くでしょ!」と元気よく張り切り出発するT橋さん。さすが今夏アブミを鍛えただけあって素晴らしいなーと思い見送りますが、途中から動きが止まり、動かない。。。

あれ?どうやらT橋さんはAAであること気づかなかったご様子様でした。でもさすができっちりとカムエイドをこなして無事クリア!

私はフォローであることをいいことに、あぶみラインから1mはなれたフリーのラインを愉しませて頂きました。途中からあぶみラインをフリーで登ってみますが、フィンガーサイズで足がうまく入らない。やはりあぶみラインをフリーで行くのはムリでした。途中からA0でわしわし登る。フォローさせて頂いたおかげで写真がたくさん撮れました。(N村)

 

■6p目 着(=7p)  (リード:N村) 40m A1

IMG_1384 DSCN3932

「恐竜カンテ」を右上するアブミルート。リーダー、ここでやおらザックからアブミを取り出す。一応持ってきていたのですね・・・。このピッチも、ピン間隔はそこそこ遠い。(T橋)

 

この「恐竜カンテ」は快適そのもの!高度感と景色が素晴らしいです。(N村)

 

 

■ 7p目 (=8p) (リード:N村)  30m

上部がけっこう悪いスラブ。という情報を頂き、即お願いする。何手か小川山級の悪さ。ピッチ切れ目は小さなテラスで、終了点はカム3つで作成。(T橋)

ここは、前回の宿題もあったので再度チャレンジさせてもらう。ここも細かいカチを拾いながら登っていきます。マスターで登るもリングへのヌンチャクかけでバランスくずして、ヌンチャク掴んでしまった。RP失敗!残念(N村)

 

■ 8p目 (=9p) (リード:N村) Ⅲ 80m?

この後は歩きだから、というリーダーの言葉でアプローチシューズに履き替えたところ、思いのほかそこそこクライミングルート。これは記憶違いしないでしょう・・・と思ったが、前回はきっとフリーで消耗していたんでありましょう。おかげで、わざわざグレードを上げた緊張感ある3級クライミングという、トレーニング的デプローチとなる。(T橋)

つるべ落としの秋の日と競うように歩き、日の落ちたころ、八合目の岩小屋に帰着。

 


その他事項

■ギア類

60mロープ x2、アルパイン&フリーヌンチャク 25セット、アブミ

カムはフォローの前進用含めてこれくらいあると安心。#0.3-0.4 x3、 #0.5-2 x2、#3 x1

6pめリード使用分(前進用) #0.3 x2、#0.4 x2、#0.5 x1、#0.75 x1、#1 x1

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