メンバー:M藤L、N野
晴れの予報は見事に外れ谷川は雨。
モチベーションを維持出来る転進先として、大同心北西稜をチョイス。八ヶ岳の冬季フリールートとしては最難関の部類らしいが、果たして。
谷川から4時間のドライブでたどり着いた八ヶ岳は抜けるような青空が広がる。
赤岳鉱泉で、やけ酒を煽り、撃沈。
翌朝、稜線は厚い雲に覆われている。
大同心稜から大同心基部まで。ここで登攀具を装着後、裏同心ルンゼ方面へと下る。ドームへ続く、左のスカイラインが北西稜だ。いつの間にか風も強くなり、岩がみる間に霧氷に覆われ初め、真冬の装いとなる。
1ピッチ(N野)
ピナクル目指し、左上するバンドを上がる。階段状に見えたが、上部は立ってくる。朝一には少々緊張する。
2ピッチ(M藤)
裏同心ルンゼ上部の涸沢へ一端下る。
ルンゼが数本扇状に上に伸びている。リッジを目指す。ここは歩いて行ける。
3ピッチ(N野)
ルンゼを詰める。リッジへ抜けて切り立った岸壁の基部まで。
4ピッチ(M藤)
技術的には7ピッチ目の方が難しいが、ここが核心と言われているピッチ。
出だしにトライカムを決め、傾斜の強い凹角を登る。凹角上部でハンガーボルトに気がつくが、既に足元。氷の詰まったクラックをピックでクリーニングしてリンクカムを差し込むが、2度、3度と弾かれ効かない。凹角を抜けて「はい、核心終了」と思ったが、この先が核心であった。
草付き混じりの岸壁をダブルアックスでアイスクライミング風の草付きツーリングで登る。せいぜい4級程度で登れてしまうのだが、結構悪い。
プロテクション取り辛くランナウトする。所々、ハング気味の箇所もあり慎重にこなす。そろそろ終了点の筈だが見当たらないため、左上部に見える灌木帯を目指し、貧弱なバンドへ。入り口でもプロテクションが取れず慎重にトラバース。ここで墜ちたら、15メートル級の振り子バンジージャンプだ。出口近くの細いクラックにトライカムを決めて安堵する。重いロープを引きずりながら60メートル近く伸ばして灌木で切る。ここは、なかなか気合いが必要なピッチだ。
5ピッチ(N野)
上部岸壁へ灌木帯を縫うように進む。60メートル。ここで、一気にガスが晴れて青空が広がる。高度感が素晴らしい。
6ピッチ(M藤)
上部岸壁取り付きまで。次のピッチは下部に核心があるので、岸壁に張りつくようにピッチを切る。
7ピッチ(N野)
左右の岩の間をクラックが走る「Ⅳ+A0
」のピッチ。核心部はハングしている。フェイスを拾いつつ、ハンド~フィストのち少々ワイド。N野さんがフリーで暫し奮闘するも、惜しくもA0。フォローはお気楽モードでフリーで抜ける。フリーだとⅤ+位か。最後はドームの頭に飛び出し終了。
(コメント)
同じ北西稜でも、人気の阿弥陀北西稜に比して辛口でした。
登山大系には「大同心で一番易しいルート」と記載がありましたが、エイド時代の話しだと思います。
4ピッチ目は、悪くなる手前でプロテクションが取れず、噂どおりランナウトです。不安定な草付きツーリングはミス厳禁。コンディションによっては、かなり渋いピッチになると思います。
濃い目の味が好みの方には、楽しいルートだと思います。
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