笠ヶ岳 穴毛谷第三尾根 2016/3/26-27

アルパイン(雪山)

メンバー:M中L、K野

・3/26(快晴)
0535深山荘P−0830四ノ沢出合−1040尾根上−1320岩峰−1600稜線BP
・3/27(晴れ)
0600BP−0720笠ヶ岳頂上−0810BP−1000クリヤの頭−1140東北支稜−1400新穂高BT

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【穴毛谷について】
穴毛谷全体としては、標高1700m~1900mに平均傾斜42°強のバンドがあり、その上部、2000~2400mがさらに急な岩盤帯となっている。雪のある時期だと1700m~の急雪壁、雪稜から2000m~の岩壁登攀という感じだ。
1700m~1900m帯については下から広サコ尾根、抜戸南から第5尾根の取り付きあたりまでが含まれ、まずはその急傾斜に対して何らかの対処が求められる。今回の取り付きを予定した四ノ沢出合もちょうど1700m。すべり面があらわになったラビーネンツークをダガーポジションで登攀するところから始まった。
また、随伴的要素としては東南面であること、飛騨風による発達した雪庇の形成がある。これらを通常の雪崩知識に当てはめて考えると、午前中のうちから雪庇崩壊や表層雪崩の発生が予見できるので、4~5時新穂BT発~9時台には1900mのラインは超えておきたいところだ。
有名な穴毛谷の大雪崩については、側面からくるような上記の通常の雪崩と違い、また、語る要素が違うようにも思われる。六ノ沢、杓子平といった標高が高いところで発生しており、加えて時間も正午近く、また時期的にも全層雪崩に近いのではないか。まぁ、本谷なのか、ルンゼ、側面の沢なのかという大小の程度問題かもしれませんが。

 
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◆記録
3/26(土、快晴)
入山前の事情により、予定より1時間ちょい遅れの8:30に四ノ沢出合に到着。本谷も側壁の高い大きなゴルジュとなっており、すでに上部では日が当たり始めているので無音の落石にオドオドしながら装備を身に着ける。滑落停止について雪訓の知識を確認し、そのための効果的なコツをアドバイスしたあと出合にかかるルンゼをダガーポジションで登り出す。ラビーネンツークなので硬い。バイルとアイゼンがビシバシ決まる。
下から「こんな急傾斜登るの初めてです!」とか「ふくらはぎがパンパンです!」とか聞こえたので上から休み方や重心移動の仕方を教え、もう少しで傾斜が緩くなる八丁目あたりでブッシュにセルフを取り小休止。K野さんに先行を依頼。ここからは日があたっており、だんだんと足が決まらなくなってきた。右のブッシュ帯を利用した登りに切り替えるよう伝えるが、かなり足がグズってしまってもがき気味になってしまう。ブッシュにセルフを取り、ロープを出す。雪面をそぉーっとラッセルし50m、40mの2ピッチで大木の安全地帯に到達。

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尾根上は凡庸。ゆえに快適。360度のアルペン風景。ベルクシュルントと言うには大げさな破断面を登り方を確認しつつ丁寧に超えていく。
上部岩峰。直上はしないかなという感じ。過去に直上で転落事故があったらしい。岩峰の基部の隙間に体をうずめてもらいロープを出す。15mほど左にトラバースをすると雪の繋がっている箇所を見つけ、そこから雪壁登攀30m。急なところをあと15m程残してしまった。横置きピケット、バイル2本でアンカーをつくってK野さんを迎え入れる。アンカーを崩すわけにはいかないので、K野さんに次のピッチをお願いする。登りもだいぶコツを掴んできたようだ。慎重に、一手一足に声を吐き出す。見上げるK野さんの姿がディープブルーと白の狭間に消えていった。

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ナイフリッジ。稜線直下200m弱。地形図を確認するとそれなりに太さはあるようだ。幸いにもライチョウのトレースがあり、高度感はあるものの、安心して歩くことが出来た。
雪庇。でかい…。左15mぐらいのところが弱点か。ピケット1本。ポットを掘り体をうずめてもらって確保してもらう。工事20分で稜線へ。握手

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3/27(日、快晴)
雷鳥岩−クリヤ頭。これは記録通りの雪崩斜面。ちゃんとしたパーティーなら初日に頂上を往復して、ここは翌日の朝6-7時には通過してしまいたい。かなり気を使わせられた。
数年前、原さんと桃子と錫杖の西尾地尾根を正月山行に計画したが、その際の下降路が北尾根を縦走してクリヤ頭をトラバースして東北支稜に入る計画とした。しかし、実際眺めると、稜線縦走してクリヤ頭の雪崩の巣に突っ込んでいくのはないな。距離感も違う。クリヤ頭はもう錫杖ではない。おそらく北尾根岩稜のどこかでクリヤ岩屋に向けて下降路があることだろう。やっぱり冬は前もっていろいろ見ておかないと。
東北支稜。やはり、バンド帯の急傾斜は出てくる。テン場からトラバースとクライムダウン連発の下降でK野さんもさぞかし緊張して疲れきっていることだろう。整調のため一本懸垂下降を入れて、お菓子を食べ、落ち着いてから最後のクライムダウンと堰堤までのデブリ歩きをこなした。

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