空木岳 池山尾根 2016/12/29-31

積雪期登山

メンバー:LA久、K池、K松、K野

前夜、松本駅に集合。入山前日未明のまとまった降雪と、行動初日夜の降雪予測から谷筋を進んで入下山するスバリ岳はリスク大と判断し3日間の快晴が約束された空木岳へ転進することを決定。始発電車で駒ヶ根へ移動した。

12/29(快晴)

タクシーは林道1,100m付近の冬期ゲート前までで、ここから歩き。

駒ヶ根ではここ1ヶ月雪は降ってないそうで、中アも南アも結構上の方まで黒々としている。

後立で猛ラッセルを覚悟していただけに、別世界へトリップした感じですこし躊躇。

雪崩れ三点セット、その他は要らんのでデポ。コージさんにビーコンを借りてきたK野は少し緊張。

1,750mの池山非難小屋まではほとんど雪も無く、昼前に到着。

その後、浅雪の下の地面が氷化してきたのでアイゼンを装着。

K松さんとK野は前回の上州武尊の経験で、雪稜で使いやすいようにピッケルをカスタマイズしてきたのにスタンディングアックスビレイどころかラッセルするほどの雪はなく、大地獄、小地獄の岩稜帯も難なく通過。

途中1パーティを追い越し、予定よりも随分と上げ2,400m付近の適地で幕とした。

12/30(快晴 強風)

ヘッデンをつけ歩き出す。今日は風が強い。雪はクラストしていてサクサク進む。

30分ほどで明るくなり、南アから昇る朝日が空木岳をモルゲンロートに染める。




森林限界を超えると尾根は広がり、通常なら気分の良いところだろうが、この日は時折雪煙が渦を巻いている。

ここには突風をさえぎる物がなく、たびたび耐風姿勢を強いられる。

クラストした斜面は徐々に氷化した部分が増え、一歩一歩アイゼン、ピッケルを確実に効かせなければならないが、自分以外体重が軽いメンバーばかりなので、自分が普通に歩いていても後ろで風に煽られてたりする。

駒石手前から念のためコンテでつながり、風下の左側斜面をじわじわ登る。

駒峰ヒュッテまで行けばこの強風から逃れられると期待していたが、入口が半分埋まっていて入る事ができなかった。

頂上まであと高度差80mでもう目の前。時間もまだ9時前なので時間は充分。

しかしこの強風と氷化した斜面が我々を躊躇させる。ここでの滑落は命取り。ロープを出しスタカットで前進を試みるが、氷化したバーンはスノーバーをバイルでバンバン叩いてもなかなか入っていかない。

パーティでスノーバー2本とバイル1本では、この状況において勝ち目なし。頂上を目前にして残念だけどここで引き返す事とした。


そうこうしているうちに昨日追い抜いた3人Pも上がってきて、ロープなしで頂上へ向かったが、やはり同じところまでで危険と判断し引き返してきた。

下りはスタカットで3ピッチ急斜面を下り、傾斜が緩んだ辺りからロープを解いたが、風は更に威力を増し、尾根上では耐風姿勢からしばらく立ち上がれないことも度々。


なんとか森林限界まで下り緊張から解放されテン場に戻るとまだ11時半。デポ品を回収し往路を下降。

快適な池山避難小屋で一晩を明かす。

12/31(快晴)

9時間半の睡眠をとり、7時に出発。

あっという間に黒々とした山に戻り、人工雪のスキー場脇を下り9時前に菅の台に下山完了。

今回はほとんどがクラスト斜面の登下降で、ビーコンどころかワカンの出番も無かった。

しかし、確実なアイゼン歩きが必要で違った難しさがあった。

この日は快晴で風も穏やかな絶好の登山日和。これから千畳敷のロープウェイに向かう登山者、観光客がチラホラ。

ただ、前日宝剣周辺で2件の滑落事故があったという。

昨日の強風の仕業とは思うが、ロープウェイで気軽にアプローチできる故に、初心者単独や、装備不十分者の入山も多いのかもしれない。

近い場所での事故だけに、我々は引き返しの判断でよかった。

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