守門岳、浅草岳 山スキー 2009/2/7-8

山スキー

F神、Y田、N島(L・記)

個人的にこれからの山スキーを一緒に楽しみたいと思っている、K玉くんと1月入会のF神さんとの3人で計画を練っていた。谷川周辺で土日に日帰り2本で、と考えていたが今年はどうにも雪がない!前週の勇さん企画、エキスパートスキーでは雨に降られ「東北まで行かないとダメか?」などと相談していた。
結局、3年前の春にF神さんが訪れたことのある守門岳周辺を選んだ。
直前になり、K玉くんが肩の調子を悪くして、代打でY田さんの参加が決まり、急遽メンバー変更を下山管理のI藤さんに連絡しての出発となった。

■2/6(金)
関越トンネルを越えるまではほとんど雪がない。小出ICを出て、道の駅「ゆのたに」でテントを張る。目の前にコンビニがあり便利だが、止まっているトラックのエンジン音が多少うるさい。

■2/7(土):守門岳  曇りのち晴れ
08:05 二分(ニブ)除雪終了点に駐車し、シール登行開始
09:25 保久礼小屋通過
09:55 非難小屋通過(小休止)
11:20 守門大岳ピーク(ピットチェック)
12:00 母川の源流カールへ滑り込み
12:10 シール登行
13:00 滑降(1388mピーク手前より)
13:20 シール登行
14:00 滑降(1167m付近より)
14:30 保久礼小屋通過
15:20 二分除雪終了点

ボーイスカウトの集合場所になっているらしく、5時半から周辺が騒がしい。6時に起きて撤収後、1時間弱のドライブで守門岳の麓へ。二分の先で除雪が終了しており、既に車は2台で、先頭の単独スキーヤーが歩き始めるところだった。天気は曇り。続いて入ってきた新潟ナンバーの単独が、F神さんの京都ナンバーを見て不思議な顔をしている。

トレースを追って出発(8:05)。先行者は3人。林道をたどって川を渡る前に一人のトレースは右に向かっているが、地形図を見て左の太いトレースを追う。急斜面を多少強引に登って、長峰へ続く稜線に乗り、夏道らしき谷筋に入る。あたりは針葉樹に程よく雪が乗っていて景色がいい。地形は少し入り組んでいて分かりにくく、トレースがないと不安になるかも知れない。704mの長峰からは明確な稜線をたどって保久礼小屋へと続く。

守門岳方面が見渡せる場所ではあるが、1300m以上はガスの中で、滑降ルートの一つと考えていた中の高地沢が識別できる。その一つ北にあるコウクルミ沢には顕著な滝があり、岩盤が露出して豪快に水が流れているのが見える。一段滑り降りると保久礼小屋を通過(9:25)。2人いるはずの先行者にはまだ追いつかない。通い慣れているのか、ルートも迷いがなく早い様子。専属カメラマンとなっているF神さんがデジタル一眼レフで僕らを撮影してくれる。

樹林の中にある小さな非難小屋を通過するあたり(10:00)で一人に追いついたが、そこで我々も小休止。非難小屋の全貌は分からないが、斜面下を向いている木造三角屋根は確認できる。先行の単独者にたずねると、入り口はその下とのこと。更に標高をあげると1200m付近から疎林になり、登ってきたルートやその背景が遠く見渡せる。
しかし向かっている守門大岳の方は依然、ガスに覆われている。先行の単独者を抜いて、トレースを追うと、ガスに入った頃に上から先頭を歩いていた単独者が滑り降りてきた(10:45)。どうやら視界不良のため、途中で引き返してきたらしい。

僕らはそのまま大岳のピークを目指してホワイトアウトの中を進む。次第に稜線は広く、ガスにより左右の斜度が曖昧になってくるが、コンパスと高度計で確認しながら歩く。そこから大岳ピークまでは20分(11:20)。
守門岳のピークから、大岳、更に北へと続く稜線には、東側に大きく雪庇が張り出すらしく、行き過ぎると危険なので、ピークと思われる付近に雪から除いている鉄塊付近で記念撮影。そこから北西の斜面に少し下ったところでピットチェックを実施すると、表層から約40cmに氷板があるものの、上部との接合は比較的しっかりしている。その下、50cmにも層が確認されるが、そこまでは崩れないと判断。

そうしているうちに青空が広がってきたので、登り返して大岳ピークから周囲を写真に収める(11:50)。
確かに稜線の東側には大きな雪庇が張り出していた。滑る準備をして、北西斜面にドロップ。というほどの急斜面でもないが、1100m付近まで標高差300mのパウダーを、写真や動画を撮影しながらそれぞれ楽しんで滑る。青空の下、広大な斜面を3人で独占できるのは幸せ。エキスパートキャンプの成果か、珍しく納得のいく滑りが出来た。
快晴のなか、シールをセットして登り返す。「ラッセラー行きま~す」と言ってF神さんが急斜面をガンガン登っていく。大岳への登りは他人のトレースを追うだけで退屈だったらしく、ノートラックの急斜面ではモチベーションが沸くらしい。私とY田さんは楽をさせていただく。

大岳から北に伸びる稜線の、1388mのピーク付近まで登り返して、シールを外して北西斜面を観察。大岳ピークには2人の影が見えるものの、誰もこちら側には滑ってこない。見ていると来た尾根をそのまま滑って下山するようだ。なんとも勿体無い。僕らは陽の当たる南西斜面(登ってきた方)か、パウダーが期待できる北西面かを相談して、北西面に滑り込む(13:00)。谷に入り過ぎないよう950m付近から登山道に戻る方向へシーツ登行に切り替える。ここでもF神さんがラッセルの先頭。

登山道がある稜線が見える、一つ手前の尾根に戻り、ここからシールを外して保久礼小屋のある鞍部目指して、母川の源流部を横切ってあまり標高を落とさないようにトラバースに入る。陽が当たる南側の斜面は重く、北側の斜面にはパウダーが残っている。F神さんはここでもうまくルートを取ってくれる。Y田さんはあまり慣れない様子ながら、少し遅れても着いてくる。時々薄いパウダーの下にアイスバーンが隠れていたりして、急斜面だと緊張するようだ。

900m付近で尾根から滑ってきたトレースに合流する。どうやら尾根を滑って降りてきた人たちはこの辺りの疎林の斜面で少し遊んで楽しむようだ。保久礼小屋を通過すると、少し登りに入るので板を担いでツボ足で登って(14:50)、平坦な林道を少しがんばり、長峰付近の樹林をこなすとすぐに林道に出て、風景も雪質もすっかり春のような駐車場へ戻ってきた(15:20)。

グルグルと迷って、守門温泉SLランドの温泉へ。450円とお得価格ではあるが、小さいお風呂。さっさと入って畳の休憩室で1時間ほど昼寝にする。6時を過ぎて、そろそろ移動。外は雨が降った様子。2月の豪雪地帯だって言うのに、やれやれ。浅草岳の登山口となる大自然館へ向けてドライブ。テントが張れそうな場所を探しながら、入広瀬の「道の駅」や大白川駅を通過。

大自然館の屋根のある駐車場でテント設営の打診をしてみるが「絶対ダメ」と言われてしまう。大白川駅に戻って駅員に聞いてみると、8時半の終電が過ぎてしまうと駅は施錠するが、ひさしの下であればテントOKとのこと。
隣のトイレは夜通し空いているので、水も取れる。夕食担当として大量のキムチ鍋を用意したが、2人は意外と味にうるさい。コチュジャンを一瓶使い切る。外は嵐で雨風がひどく、ときどきピカッと光って雷もなっている。
明日の未明には雪との予報。23時ごろに寝る。

■2/8(日) 浅草岳:雨、吹雪のち曇り

08:50 大自然館発
11:55 1484mピーク(浅草岳手前)
12:30 ピットチェック
13:50 滝から登り返し
14:30 稜線から滑り込み
15:40 大自然館

深夜4時ごろに駅の戸をたたく現場風のオヤジのお陰で起こされる。異常者かと思ったがその後、数人が集まっていたようなので、仕事なのだろうか?それからあまり眠れなかった。しかしF神さんとY田さんは6時を過ぎても起きる様子はない。テントの外では、驚いた人が携帯で写真を撮っている気配がする。さすがに6時半に起こして、K玉くんが用意してくれた朝食を済ませる。大自然館に移動して、スキーの準備。勝手に忍び込んでトイレを拝借すると、帰りにスタッフの方が待ち受けていて、お小言をいただいてしまう。

日曜日なのに、前日よりも遅い出発(8:50)。天気は思ったほど悪くはない。前日のものと思われるトレースをたどる。4・5人はここから登って滑り降りてきたように見える。白崩沢に沿って地形図には載っていない林道があるらしく、トレースはくねくねと続いている。

しかし途中で2つに分かれており、当初想定のルートで上に向かっている細い方のトレースをたどることにした。
結果的に登山道へは下のトレースだったようだが、地形図を確認しながらムジナ沢とヤヂマナ沢の間にある尾根に入っていく。ときに急斜面になったり、ヤブを越えたりしながらも順調に標高をあげていく。先頭は概ねF神さんで、その後をN島、Y田さんが続く。Y田さんはまだ新雪のシール登行に慣れていないようなので、途中で先頭に立ってもらって急斜面でのキックターンなどを実践してもらう。

地形図860mの付近にさしかかり、真西に方向をとって顕著な尾根に取り付き、1246mを目指す。この頃から視界は悪く、右から吹き付ける南風に当たりながらの登りになる。風下になる稜線の左には雪庇があるはずなので慎重に行動する。休憩を入れたタイミングで2人と相談し、浅草岳のピークまでは行かず、登山道と合流する1484mの前岳手前の小ピークから滑ることにして、あと30分ほど進む。

強風のなか、なだらかな1484mと思われるピークに到着(11:55)。動画を撮って、記念撮影を素早く終えて、シールを外して滑降の準備。F神さん先頭、Y田さんを間に挟んで、N島が最後に滑る順序とする。下降ルートは登ってきた1246mのある稜線と、登山道のある稜線の間にあるヤヂマナ沢の源流部を目指す。谷の入り口付近の吹き溜まりで一度スキー板を外し、雪質のチェック。こちらは前日の守門岳と比較すると弱層はあるものの、表面から40cm付近にある氷の層と上に乗る新雪の接合は悪くないと判断し、慎重に滑ることに(12:32)。

ガスで視界は50mほどなので、すぐにF神さんが消えていく(1270m付近、12:50)。斜度はそれほどないため、スピードは出ない。雪崩を多少、気にしながら安全地帯に止まってメンバーが離れすぎないように注意。先頭のF神さんが前方の滝を確認して、ストップ。カニ歩きで少し登って、左の稜線を高巻いて通過する(1140m付近、13:10)。このとき、実はヤヂマナ沢ではなくムジナ沢に入っていたのだがまだ気づいておらず、ヤヂマナ沢の950m付近にある滝に注意して滑っていた。

13:45ごろ、滝を想定していた950m付近まで来たところで周囲が明るくなり太陽が差し始める。対岸となる左岸の壁に氷柱が掛かっているのが見える。あれが地形図の滝だろうかと思って、更に降りようとしたときにF神さんから稜線に登り返そうという提案。このまま沢に沿って下降を続けると、無難にこなすだけで滑降は期待できないが、左右いずれかの稜線に上がればもう1本くらいは滑りを楽しめるはず。この時点で13:45だったため個人的には下降を考えていたが、一番時間を気にしそうなF神さんが問題なければ滑りたい気持ちは同じなので、3人で相談して左岸の稜線に登り返す事にした。

40分で稜線に上がり、シールを外して滑降開始(14:40)。この時点で登山道に戻っているつもりだったが、実際はもう2本南西の、登ってきた稜線よりも更に1本となりのラインにいたようだ。どうやら様子がおかしいと気づいたのはそこから標高差50mほど滑り降りて、乗っていた稜線がその先で中途半端に終わっており、北に見える尾根にいくつかのスキートレースが見えたときだった。

幸い視界はよく、上空は部分的に青空で、北西方向には沢筋の対岸に守門岳や黒姫の裾野が見えている。今、どこに居るかは曖昧だが、このまま下山を続けてもどこかで登山道に合流する。地図を見ることは止めて、滑りを楽しみつつ、下ることに心を決める。反省はまた後からやればいい。

F神さんが稜線から左側の急斜面をトラバースして突破しようと偵察してくれているが難しいようなので、Y田さんが登ってくるのを待って、右側の雪庇の隙間を縫ってN島から急斜面に滑り込む。この下に広がる斜面は樹林が濃いものの、斜度があり、雪もパウダーがたっぷり溜まっていて楽しめた1本だった。最初に楽しませていただいて、降りてくるY田さんとF神さんを見上げるアングルで動画に撮る(900m付近、15:00)。登り返してよかったと実感するひとときだった。

後は複雑に交差する沢を、なるべく滑りやすいようにルートを取って下降を続ける(500m付近、15:20)。こうなると後は多少強引さも必要で、時々カニ歩きで登ったりしながら、陽が当たって重くなった雪の中をとにかく前進する。Y田さんも苦労しながらついてくる。辺りは植林のヒノキ林で、すっかり春スキーの様子だ。そろそろ標高的にも登山道に出るだろう、と思っていたところ、林道らしきところに出たが、その先には右に大自然館が現れた(15:40)。登山道からは大自然館左手に見えるはずだったのだが…。

この時点で僕らが滑ってきたのはムジナ沢だったことが判明。どうやら最初のボタンを掛け違えたらしい。スキーは一つ間違えると、そのミスが大きく結果を変えてしまうことを再認識。しかし無事に下山できて安心。メンバーと握手して、F神さんのキューブに乗り込み、帰路につく。帰りは関越道の大渋滞が待っていた(>_<)。

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