メンバー N友(L)、N島(記)
林道に車を止めて、倉谷に入渓する。標高200mに満たない頚城の沢は、濃い緑が滴るようで、原始的な甘い香りと、若干の猥雑さを湛えている。
赤い岩盤の発達した小さな沢をしばらく進むと、小ギラの入り口となる二股に出会うが、嫌らしい滝になっているので、一つ隣の沢筋に入り、尾根をのっこす、と、小ギラが現れる。なるべく下から小ギラを登ろうと、少し沢筋を下降すると、いい感じで小ギラに繋がる登路があり、そこから小ギラに入りこむことができた。
硬くて、いいスラブである。ドンピシャに小ギラに入り込めたことに、二人して鼻をうごめかしながらすたこらとスラブを登り、稜線に出る。薄いが踏み跡があり、千丈峰の頂上へは、問題なく達する。
その後、西側に伸びる尾根を藪漕ぎし、コルに至り、コルから、大ギラのとりつきに向かう谷を下降する。容易に下降できる、が、標高600を切り、ちょうど、大ギラが見えかかったところに、雪渓がある。
うむ、6月で、標高600で、雪渓とは、流石日本海側の山塊だ。予想外の展開に少々びびりながら、雪渓の様子をうかがう。もう時期も遅く、あまりありがたい状態ではない。このため、本谷を進むのはやめ、ちょうど雪渓が山肌に繋がっている第三スラブを登ることにした。
取りつきで1ピッチだしたのは、下から見てると、なんか急そうに見えたからだ。ただ、登ってみると実は何のことはないと判明したため、1ピッチ目を切ったところで、もう、ザイルはしまい、クライミングシューズに履き替えて、あとはひたすら登る。碧の山、青い日本海と、白い雪渓が見下ろせて素晴らしい。途中なんども休憩して、大ギラを味わった。
と、言うわけで、クライミング自体はひたすら何の問題もなかったのだが、問題は下降であった。
出だしが急なのは想定の範囲内である、注意深く下降するが、岩盤に載った薄い藪がどうもありがたくなく、1ピッチ懸垂する。
と、ようやく沢の本流についたのだが、さてここからで、雪渓処理を交えて懸垂を繰り返す。載っていいのか潜っていいのかわからん雪渓、というより、載っても潜ってもだめじゃないのこれ、というような薄くて嫌な感じの雪渓を、載ったり潜ったりして4回懸垂し、もう、いい加減にして頂戴な、というころに、林道に出た。直線距離にして1キロに満たないこの沢の下降に、2時間半もかかった。
林道で休憩してから、車を目指して歩く。途中、デポしておいた長友さんのキックボードを使ったが、これはなかなか快適であった。2時間ほどかけて、12キロの距離をこなし、ようやく車に乗って、タラ汁を食べた。タラ汁は、普通に、うまかった。
なお「ギラ」とは、岩壁を流れる水がギラギラ光るために命名された、という。ほんまかいな。センスがいいのか悪いのか、コメントしがたいネーミングである。
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