今年は雪稜志向の新人が多いため、八ヶ岳西面で歩きや登攀の基礎を経験する山行を企画しました。日曜が南岸低気圧で悪天予報だったので土曜のみになりましたが、ほどほどの悪天でいい訓練になったのではないかと思います。
赤岳南峰リッジ、阿弥陀北稜、阿弥陀南稜、大同心南稜(下部のみ)の4パーティで、総勢11名が参加しました。
●赤岳南峰リッジ
【メンバー】L K坂・ F原(記)
歩きに終始するかと思いきや、それなりに登攀要素があった。残置ピトン・ボルトがないので全てNPなのが良い。F原は初めてのアルパインクライミングで少しもたついたものの楽しめた。それにしても、ピッチ数の割にアプローチが長い…
●阿弥陀岳北稜
【メンバー】Lみみみ、○岡、○谷(記)
アプローチも長いし2人のアルパイン初心者がいるしきっと時間はかかるだろうという想定の元に出発。が、想定外はつきものである。ロープを出す回数、慣れないアイゼン•ダブルアックスでの登攀、またこれは想定内且つ大事な選択であったが下山には雪崩リスクを避けて文三郎道を使用。これらに相当の時間を要し、阿弥陀北陵はバリエーション入門ルートと言われているが当然誰でも軽い気持ちで行って良い場所ではないということを体感した今回。しかし初のアルパインチックな雪山は総じて楽しかった。震えながらのビレイ中でさえも。雪の付き方で難易度が変化するのもまた面白い。ただし、まだ自分の力で登ったとは言えないのが悔しいところではあるのだが。
●阿弥陀岳南稜
【メンバー】L D介、K藤(記)、ずっきー、Y田
船山十字路を6:20にスタート。立場岳までは一般登山道を行く為、危ない箇所もなくスムーズに進むことが出来た。青ナギ付近にてアイゼンを装着し、トレッキングポールからアックスに持ち替えて先を進んだ。10:54にP3ルンゼに到着し今回の山行の核心部分となった。
チーム4名のうち3名が雪稜初心者という事もあり安全マージンをとってP3ルンゼはD介リーダーがロープを出すことを決断。D介リーダーにリードをして頂き、ずっきーさんがビレイを行いP3ルンゼにロープを張る。その後アッセンダーを使用して2番手にY田さん、3番手にK藤が最後にずっきーさんがルンゼを登攀した。やはり新人3名は登攀に慣れていないと言う事もあり、P3ルンゼを登攀するのにそれなりの時間がかかってしまった。 ルンゼ通過後もアックスを使用して登ったが、どこにアックスを刺せば安全か?、アイゼンの使い方など慣れていない事が多く、今後は経験を積んで道具を使いこなせる様になるのが課題だと感じた。それ以降はルーファイに悩む箇所が1箇所程出てきたが、D介リーダーの指示によりルートを間違うことなく阿弥陀岳山頂に12:44に到着することができた。
下りは一般登山道ということもあり、特に問題なく下山することができた。
●大同心南稜
【メンバー】L S木、O川
最初のアプローチはK坂さんの班と途中まで一緒に歩いた。メンバー全員がかなりの体力保有者であること、S木さんがショートカットを教えてくれたことで林道歩きはかなり楽に歩くことができた。南沢と北沢の分岐でK坂班と別行動。自分たちの班は北沢ルートで赤岳鉱泉へ。緩やかな道が続き疲労感もなく、赤岳鉱泉に到着。雪が少ないことに心配を覚えながら歩いた。アイスキャンディーを眺めながらハーネス装着と休憩を取る。S木さんのペース配分が素晴らしく、汗をあまりかかずに済んだ。赤岳鉱泉から大同心南稜に向かうアプローチでは、今までの登山道のようにはいかず先ほどより急な道を進む。人気なルートであるためトレースが付いていた。ペースは一定だが流石に汗をかいた。積雪と風が出てきて、体を止めると少し寒かった。大同心南稜取付きに到着。この時点ではまだ積雪も風もそこまで強くなく、ただ寒いといった印象。また登攀開始地点まで、S木さんに先行してもらいトレースをつけてもらった。O川はアイゼンワークが未熟であったため少し慎重に移動。
当初の話し合い通り、O川が1P目をリード。Ⅲ級なので問題ないと考えていたが大苦戦。1時間半壁に張り付き突破。トポと実際の山壁を一致させることにも苦戦した。そのため本来はリッジに対して左に登っていくが、ルートを外してしまった。自分自身は左に向かっているつもりであったが、そのさらに左に抜けて上る必要があった。ビレー中のS木さんには寒い思いをさせてしまい大変申し訳なかった。ルーファイミスによりロープが屈曲、ロープアップの際にうめき声を出しながらロープを引き上げる事に。2P目は時間と1P目のことを考慮に入れS木さんにリードをしてもらう。S木さんは難なく突破。すぐにビレイ解除の声がかかる。O川はセカンドであったため、1P目よりすんなり突破。すでに風邪と雪がかなり降り始めていて寒かった。
3P目、歩きのピッチのため再びO川がリード、一部悪いところがあり上から越えるか、下から潜るか少し迷い下から潜って突破した。3P目の終わり頃にはかなりの積雪。雪の状態を見て懸垂下降をする事に。ここでO川が懸垂下降の支点にピッケルを忘れてくるミスをしてしまった。1P懸垂をした後だったため、登り返して回収へ。南稜取付きまで合計2回の懸垂で降りた。
懸垂終了場所から取付きに戻るためにトラバース、かなり道が悪かったためS木さんにトレースを付けてもらいその後ろをO川が歩く。積雪により行き使ったトレースは消滅。ふかふかの雪を滑るようにして降りる。赤岳鉱泉でK坂さんの班とたまたま合流。その後は再び林道歩き。流石に林道が長くて飽きた。
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