【メンバー】Lえびちゃん(たもしま)、クロスケ(記)
【日程】
2024/2/9 ガンダーラ天竺
2024/2/10 雷電海岸ナイル川
2024/2/11 雷電海岸1,3,4ルンゼ
2024/2/12 雷電海岸2ルンゼ、スモールウェーブ、レインダンサー、白岩シャフト偵察
2024/2/13 定山渓 新錦の滝、積丹半島一周、支笏湖観光
毎年恒例の2月の北海道アイス遠征。2021雄冬海岸、2023知床に続き、3回目は雷電海岸に行ってきました。
天候が荒れやすい日本海側でしたが、5日間とも天候に恵まれ(恵まれすぎて溶けかかってたくらい)連日登れて超ラッキー。有名どころからマイナーエリアまで、毎日太陽とともに登って降りる日々。最終日は行くところがなくなる始末で、ドライブも堪能しました。
※記載のグレードはクロスケの体感グレードだが疑問符をつけたいものもある(この行の追記:たもしま)
初日は最近開拓されたそうなガンダーラ天竺。
海岸から登る2P+αの氷瀑。
出だしは薄かったけど概ね良好。
2日目は本命のナイル川。
今年は発達が悪そうでトポで見るのとは違う、細く長くてとても「ナイル」って感じではない貧弱で難しそうな氷瀑。
※なお、登攀5日後にナイル川は崩落した模様。異様な暖気でものの見事に姿を消した写真が知人から送られてきました。数日前に登ったという事実が今更ながら怖くなります。やはり氷は生ものなんですね。
1P 55m V+ クロスケ(一部Ⅵ-)
滴り、薄氷、聳り立つ威圧的な氷瀑。明らかに困難そうな見た目だったので悩んだが、知り合いが登ってた記録を読み、対抗心燃えてリードを買って出た。
が、、、。
結果は惨敗。。。。
下部10mでパンプしてフィフィテンション1回。
その後も滴りを受け続けて、靴の中、袖の下まで全身びしょ濡れ。寒い。。。薄く被った氷を側壁の岩を使いながら乗越し、再度垂直をパンプに耐えて抜け、中間部の薄氷はなるべく壁際を攻めて、緩傾斜帯は残スクリュー1でランナウト。全身の濡れもありどうしても2ピッチで抜けたかったので、意地で2時間もかけて55m出しました。超手こずった。。達成感はあるものの、真面目に遅すぎて自分が嫌になります。。。大反省。。
2P 50m Ⅴ えびちゃん
正直ここで帰りたいくらい寒かったけど、ダウンジャケットを持ってきてもらったので耐えて続きへ。右に回り込んでバーチカル15mほどから、抜け口。こっちもなかなか気の抜けないピッチ。最後はラッセルしてF2まで。
灌木だとスタックしやすいらしいので、F2の氷でアバラコフ懸垂。2回懸垂で取り付きに無事帰還。長い旅になりました。
その後ビッグウェーブを偵察し繋がってないことを確認して下山。1本しか登ってないのに15時過ぎ。うわぁ。。。
下着は濡れてないにしても、シェルからレイヤリング4枚全部濡れてるし、膝から浸水して靴内部に水溜まってたし、街のコインランドリーで全部乾せてよかったぁ。
3日目は雷電海岸を1ルンゼから順番に。
1ルンゼ
1P 45m Ⅳ えびちゃん
とにかく薄い。バーチカルパートも短いながらある。フォローで上がってると、後続がやってくる。
2P 60m コンテ
雪壁と2級程度のアイスでF3基部まで。
3P 50m Ⅳ えびちゃん
コンテのロープを返すのが面倒なので、えびちゃんリード続投。バーチカルも含めて思ってたより長かった。
灌木で懸垂3回。後続とは1P終了点ですれ違う。立派な終了点で助かる。
トラバースして2ルンゼへ向かうとスノーシューの大群。大混雑してたので、この日はパスして3ルンゼへ。トレースなくラッセルが大変。
3ルンゼ
45m V クロスケ
なかなか威圧的でぶっ立ちでこっちは貸切。滴りを避けて左から取り付き、ハングの真下から正面に回り込んで、最後は緩傾斜から雪壁。前日のナイルの反省を活かしてスピードを意識。分速1m以上を目指してなるべくレスト取らずに頑張りました。(ナイルは分速0.5m。遅え。)
4ルンゼ
1P 60m V えびちゃん
先行が上部左側で懸垂しそうだったので、避けて右側に抜けるライン取り。下部のバーチカルは左から抜け、中間部で大胆に右上し氷で囲まれた岩小屋風の場所まで豪快にランナウト。スクリューもっと持ってけばよかったのに。
2P 50m V クロスケ
穴から左トラバースして顔を出し、そこから直登。前半はバーチカルだが後半は70度くらい。思ったより長かった。後半はスクリュー足りなくなるかと思った。
灌木とボルトを使って懸垂2回。
1日で3本行けるとは想定外に捗った。
4日目
今日こそ2ルンゼ!と日の出時間に駐車場に着くと、なんと先行が出発するところ。ルート被りしたものの、取り付きには先に到着したので、先行を譲って頂く。
これは前日の大混雑時の写真。10人くらいいそう。
1P 40m Ⅳ えびちゃん
後続の邪魔にならないように配慮して右側のラインを選択。ただただ快適で楽しく、どんどんロープが出てる。分速1m以上。
2P 40m Ⅳ クロスケ
氷の裏から左に回り込む形で正面右側を登攀。前日大勢に登られてるのでボコボコ。下から見るより長く階段状が続いていた。
懸垂で取り付きに戻ると、登っていると思っていた後続パーティーはまだ待っていた。頑張って飛ばしたつもりだったが、2時間ほどお待たせしてしまった形になってしまい大変申し訳なかった。
その後は、少し移動して雷電トンネルの向こう側へ。
スモールウェーブ
50m Ⅳ+ えびちゃん
3段になってる氷瀑。上に行くほど傾斜もあり厳しい。抜け口から先は氷がなく、落ち葉に雪と氷、倒木が乗った嫌らしい壁。15mほどのランナウトはリードだと痺れただろう。
レインダンサー
20m Ⅳ クロスケ
名前がかっこいいからという理由でこっちをリード担当。2段のショートバーチカル。こちらも上部抜け口に氷がなく、慎重にプロテクションを取って這い上がった。
これで雷電周辺で登れる氷もなくなってしまったので、積丹半島に移動して、期待薄の氷瀑を偵察。
対岸から見える白岩シャフトは、登れそうな状態ではなかったがせっかくなので取り付きまで偵察しに行くことに。
海岸線をへつって通行。
遠目で見ると厳しそうだったアプローチの海岸線は、近づくと案外陸地や岩が繋がっていてスムーズに通行できた。
道中にあるディジェグネーターは、繋がっておらず素通り。
白岩シャフトはルンゼに跨るかっこいい氷瀑。丁度西日に照らされて輝き滴っている。細くて立ってて、なんならハングしてて、仮に氷結良くても厳しそう。繋がってないことに内心安堵しながら、無事帰路に着く。
最終日は何をしようか。
天候不順や、氷結がいいことを考えての5日間だったが、天候が良く氷結はイマイチなので、なんと登るものがなくなってしまった。いっそのことスキーする?さっぽろ雪まつりは?え、昨日で終わってる?じゃーどうしよ。
と悩みに悩み、積丹半島1周遠目に氷瀑探しツアーと、札幌近郊のアイスエリア定山渓の見学に行くことに。
北海道の知り合い情報を頼りに積丹の岩壁を眺めるも、やはり状態が悪そうなので眺めるに留めて早々に移動。
定山渓、新錦の滝はアイゼンのトレースが残っており、期待して懸垂アプローチすると、5mほどのアイスボルダーと、円筒状に空洞になった厚さ10cm未満の氷のベール。
せっかく来たのでトップロープで1本だけ、壊さないように繊細に登って楽しみました。薄くても氷って案外丈夫なもんなんですね。リードは遠慮したい感じだったけど。
しかし下から見たら立派に見えた氷瀑も、上から覗くとこんな状態のこともあるわけだから恐ろしいものだ。
雪まつりは終わっていたので、代わりに支笏湖の氷濤まつりに寄ったら、こっちはこっちで異常な気温上昇で氷像が崩れてなんと中止に。氷の中には入れないけど無料で解放してたので、なんとなく1周見てきました。
氷を見る目は完全に登れるかどうかのアイスクライマーだけど、宮殿のような氷像見た時はちょっとエルサになった気分。
しかしまぁほんとに異常な暖気で、雷電海岸は翌週まで氷あるのか?という状態。こんなに行き先に悩む2月があっていいのか。
なにはともあれ予定以上に雷電アイス遠征は楽しめて、この日程で来れて本当にラッキーでした。予約とか全部してくれたパートナー、そして泊めてくれた現地の先輩会員に感謝です。
【たもしま感想】
去年の知床・道東遠征がとても良かったので、今年もクロスケと2人旅をしようと思い、提案した雷電海岸遠征。ナイル川を登るにはまだ実力が足りないかもと思っていたが、(核心部フォローなら)ちょうど良く楽しめ、他にも周辺の氷瀑を沢山登れ、北海道グルメも満喫でき、大満足であった。
2020年にアイスクライミングを始めて以来、2021年の雄冬海岸、2022年の層雲峡、2023年の知床・道東、2024年の雷電海岸等と、4年連続北海道アイス遠征をしてきた。毎回天候に恵まれて沢山の氷瀑を登れ、美味しい食事を頂き、快適な宿泊が出来ていて、良い思い出ばかりである。しかしこんなに毎年順調だと、北海道にも行きたい所が殆ど無くなってしまった。まだ29歳なのに、どうしよう、というのが最近の悩みである。次は礼文島かなぁ。
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