穂高屏風岩 雲稜ルート 2024/4/26~29

アルパイン(夏)

穂高屏風岩 雲稜ルート

2024/04/26-29

 N口明(L、会外)、N島R恵

4/26 上高地から横尾、渡渉箇所偵察

4/27 横尾~T4尾根偵察、デポ、停滞、1ルンゼ内で幕

4/28 幕~T4尾根~雲稜~懸垂下降~幕地戻る

4/29  下山

4/28

4時。1ルンゼ内の幕地を出て、雪渓を詰め、前日にデポしておいた登攀具を回収する。

T4尾根1ピッチ目は雪に埋まっている。雪渓とT4尾根との間には大きなシュルンドが口を開けており、慎重に渡り、尾根にのってすぐ1ピッチ目の終了点。ここでザイルを出す。

2ピッチ目 N口 意外と難しい。

3ピッチ目 N島 容易

4ピッチ目 N口 歩き~雪田~残置ロープのある岩場~T4テラス

T4テラスも半分以上雪に埋まっている。ここでビバーク装備をデポし、雲稜にとりつく。

1ピッチ目 N島→N口

クラック。残置ハーケン多数あり、わーい。。。と思って取りたい放題取っていたら、弾切れになり泣きそうになる。ピッチを切り、N口に上がってきてもらい、後半はN口リード。テラスにつくと、1枚の岩、というかピナクルがぶったっている。本来その後ろで切った方がよかったのだが、分からず、手前で切る。

2ピッチ目 N島

ピナクルと垂壁の間に入りこむ。垂壁には1つリングボルトがあり、そこからどう行くのかがわからん。ルートが見えない。あれこれ考えた結果、この垂壁を超えないと何も見えないのではないか、と思いつき、リングボルトにシュリンゲをかけてえいやっと乗り込み、あたりを見回すと、もう、ここしかなくない?というバンドが見える。それを辿るとピナクルがあり、ピナクルを超えると、その先に、リングボルトが連打された垂壁が見える!3ピッチ目だ!やったった。ルーファイ、あってたんだ。この時が一番嬉しかった。N島としては、このピッチが一番楽しかった。

3ピッチ目 N口

粛々とあぶみ。

4ピッチ目 N島

あぶみで6mほど上がると、ハングの下にでる。ハングの下を慎重にトラバースする。これが「怖いトラバース」と言われるようだが、沢のへつりみたいなもんでそんなに怖くはない。トラバースが終わるとルンゼに入り、これまた沢の詰めみたいな感じで、めちゃめちゃ親近感がある。

5ピッチ目 N口

ここから先は沢屋の領分、なのだが、ぬめっていて意外と悪い。一か所あぶみを出して突破。

6ピッチ目 N島

草付き。難しくはないが雪解け直後だけあって滑る。ロックハンマーを沢バイル替わりにして登る。このハンマー、ここでこういう使い方をするとは思わなんだ。途中、古い支点があるが、使う気にならず、これを無視してさらに上がると、まだましな支点がある。ここで終了。

懸垂下降

さて、ここからが問題である。4ピッチ目でかなりトラバースしているため、何も考えずにまっすぐ懸垂したら、T4テラスに戻れない。互いに声を掛け合い、慎重に懸垂を繰り返し、無事にT4テラスへ。そこからT4尾根をさらに懸垂し、登攀を開始した、T4テラス1ピッチ目の終了点に戻る。

さて、雪渓に戻るべし、なのだが、雪渓はこの1日で相当融解しており、尾根からぴょんと飛び乗ったら崩れそうなくらい薄くなっている。登山靴に履き替えアイゼン装着、ザイルを付けたまま慎重に乗り移り、事なきを得て、16時30分、我々は、1ルンゼの雪渓に戻った。

すでに日は傾きかけ、薄紫に染まりつつある穂高の空に、そびえたつ屏風岩が美しい。N口は、あれが1ルンゼ、あれが東稜、と昔登ったルートを懐かしげに指さしている。何十年前のことですかアナタ、というところだが、老クライマーの横顔は、屏風岩を再登できた充実感に輝いていた。

もう、横尾まで戻ってしまおうか、とも思ったが、この時間から撤収して、さらにあの渡渉をこなして横尾に戻るだけの気力はなかった。我々は、静かな1ルンゼで、最後の夜を過ごした。

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