L,N島F博(記)、K玉T彦、F神H晃
昨年、巻機山をスキーで滑って以降、白毛門からの縦走を考えていた。その後、このルートをOne Dayでトレースしたシーハイルの記録も知り、1泊なら滑りも含めて楽しめるだろうと計画した。結果的に初日に足止めを食らい、雪のコンディションも悪かったため巻機までは届かず。それでも経験を積むことができ、今後につながるよい山行となった。珍しく会報の表紙もいただき。
■3/7日(土)吹雪、強風
04:30 起床@谷川ロープウェイ駅~07:15白毛門登山口発~10:50白毛門ピーク~11:40 笠ヶ岳ピーク(避難小屋泊)
長い一日になるはずで4時半に起きたが、谷川ロープウェイ駅の周辺は朝から強風が吹き荒れ、出発できそうにない。細かい雪も降っており視界が悪い。予報では午後から回復するらしい。白毛門以降は晴れることを見越して、土合駅に車を置いて7時過ぎに出発。昨年と比較しても雪が少ない。
30分ほどで先行の女性2名を抜いて先頭に。F神さんのラッセルが早く、夏のコースタイム通り3.5時間で白毛門のピーク(10:50)。稜線の雪の状態は昨年よりもよいと思われる。(後日、前年の写真と比較すると、昨年の方が雪は少なく、亀裂や破断面も多かった)
昼が近づいても、天気は一向に回復の気配なし。白毛門ピークからシールを外して笠ヶ岳へのコルまで滑るがガリガリに凍っていて疲れるだけ。視界も悪い。コルから再びアイゼンに履き替えて笠ヶ岳へ。
笠のピークへの登りはスキーが風を受けてフラフラの状態。K玉くんは重量ファットのため、特にダメージが大きいようだ。1852mの頂上付近では強風でまともに立っていられない。記念撮影はあきらめて、すぐ東側にある避難小屋に逃げ込む。幸い、入り口はそれほどうまっていなかった。危うく強風にスコップが飛ばされそうになる。
スキー板を投げ入れて、小屋に入り込むとひと安心。避難小屋のありがたさをかみ締める。14時まで待って好転したら出発を考えたが、結局状況は変わらず停滞することに。小屋内に3-4人用ゴアライトを張って昼寝にする。F神さんは携帯将棋で遊んでいた。5時までごろごろして、水を作って食事。実はこの3人での山行は今回が初めて。いろいろなことに話題が飛んで、話は尽きない。酒が先に尽きたので、21時半に就寝。外は相変わらずの視界と風。結局早朝まで風は止まらなかった。
■3/8(日)穏やかな晴れ、のち曇り
04:30起床~5:50笠ヶ岳避難小屋発~07:20朝日岳ピーク~08:45大烏帽子ピーク~11:55柄沢山ピーク~13:40清水~15:30土合駅
4時半に起床。外は星が少し確認でき、ふもとにあるスキー場の照明や街の明かりが見えている。風もだいぶ納まった。ラジオの予報は好転を告げている。引き返す理由はない。どこまで行けるか分からないが、巻機を目指すことにして出発(5:50)。
1934mへの登り返しはガリガリ斜面に見えるので、僕がアイゼンで先行してルートを確認し、シール+クトーの二人にトラバースでも通過できること告げる。朝からいきなりのアイスバーンのトラバースで緊張したかも知れない。F神さんが少し遅れ気味だったので心配したが、姿を現して確実に上がってくる。
尾瀬の方から次第に空が明るくなってくる。快晴ではないため、太陽は見えないが、視界は良好。僕もアイゼンからシールに切り替えて稜線をたどる。どこもガチガチの表面で、とにかくクトーがないと登れない。これ以降、落ちたら数百mは止まらないような、不安定な登りが連続し、精神的にも疲れる。更に細かいアップダウンが続き、こまめにクトーを脱着するのも煩わしい。
7:20に朝日ピーク1945m。天気は高曇りで安定しており、それほど風もなく、安定している。交代で記念撮影。
左には谷川岳から北アルプス、右には尾瀬から八海山、先日行った守門や浅草岳も見えている。3人で相談し、柄沢山で再度検討することにして、大烏帽子方面へと更に進む。
朝日岳から少し北の分岐までシールで進んで、ここから少しスキー滑降。特に楽しい斜面ではない。右側のナルミズ沢にはたっぷりのパウダーが詰まっているように見えるが、今回は縦走なので未練を残しながら先を急ぐ。あるところにはパウダーがちゃんと残っているのだ。
1819mの大烏帽子に登り返して(8:45)、再びシールを取る。大烏帽子の西側にはこの周辺で一番急峻な壁があり、この部分はスキーでは下降できない。稜線も一部細い尾根があり、スキーの先端を空中に突き出して、横歩きで下降するポイントがある。F神さんはシールのまま降りてきたたため、少し苦労している。シールだとエッジが効かないため、急斜面の下降では危ないこともある。これも経験。
北西には清水の集落から六日町へと続く新潟平野が見えている。ここから先へ進むと下降は群馬県側ではなく、新潟側となる。クトーやシールの脱着が多く、小まめに止まる。F神さんがアイゼン下降中に前のめりに転倒し、カメラで胸を強打。肋骨をやってしまったか?
稜線の東側(即ち右側)には雪庇が張り出し、部分的に亀裂が入っている。この亀裂の内側を意識して歩くが、雪庇先端からはかなりの距離があり、その亀裂の左側には雪面からヤブが出ている。本来の稜線はこの辺りということだろう。普段、意外と知らずに雪庇の真上を歩いていると改めて感じる。踏み抜きには十分注意しなければ。
檜倉山から見える柄沢山への登りは意外としっかりある。ちょっとした斜度もあり、凍っているように見える。
一度1500m付近のコルまで下りて、そこから1時間ほどがんばって、柄沢山ピーク手前で小休止(11:30)。燃料補給して、そこから15分ほどで柄沢山ののっぺりとしたピークに到着(11:55)。
何とか目標と考えていた正午には着いた。しかし巻機までの道のりはまだ遠い。多少のアップダウンもある。F神さんは胸が痛そうだ。K玉くんも珍しくお疲れ。行けないことはないが、無理することはない。下山も遅くなるだろう。相談してここからの下山を決め、シールを外す。滑り込むのは涸沢川か米子沢が選択肢となるが、清水に素直に降りる米子沢とする。
柄沢山ピークの北側にあるコルに、6人ほどのスノーボーダーがいてこちらに向かって登ってくる。交差時に少し話す。涸沢川を詰めて、沢沿いに登ってきたらしい。ガイドではない。地形図の1809m付近までガリガリ斜面を滑って移動。斜面を偵察するが、ヤブが出ており、更にその下はかなり急なアイスバーンになっている。慎重に1段降りてそこから滑降開始。最初はガリガリのアイスバーンだったが、少し滑ると谷の中央にパウダーが詰まっており、思ったよりも楽しめた。
地形図1487mをかすめて、緩斜面を過ぎると再び谷へ。K玉くんはそのまま谷筋に入ったが、雪質が悪そうだったのでF神さんと僕は尾根を滑降した。次第に雪は重くなり、最後に950m付近の堰堤でK玉くんと合流する頃はグサグサの春の雪に変わっていた。そのままトレースをたどって清水部落へ。
13:45のバスに何とか間に合い(イヤ、遅刻?)六日町へ。スキーブーツのまま、意外と混雑した各駅停車に乗って、土合駅へ移動。車を回収して東京へ。帰りにはまた長い渋滞が待っていた。
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