中ア 滑川奥三ノ沢遡行~三ノ沢下降 2024/7/20-21

沢登り

[メンバー]Y田(L)、ヤマ、MSO(記)

[行程]

7/20(土) 雨のち晴れ

駐車場8:00~11:15奥三ノ沢出合11:30~14:15雄滝(F5)下~15:30雄滝上(C1)

7/21(日) 曇りのち晴れ

幕営地4:45~8:00三ノ沢岳8:30~13:00 co2100付近二俣13:15~15:40三ノ沢出合~17:10駐車場

・7/20(土)

 前泊は木曽福島の道の駅。朝方の天気が悪い予報だったので6時過ぎとかなりゆっくり起床した。コンビニで朝食を摂っていると予報通りパラパラと雨が降り出す。前夜、酔ったY田さんが「天気悪かったら下呂温泉でも行くかー」と言っていたので、期待の目を向けたのだが「昼前には止むやろ」の一言で一蹴。無念…。

 木曽駒の上松Aコース登山口の駐車場を8時に歩き始める。敬神ノ滝小屋を過ぎた先も地図上には書かれていないが滑川右岸沿いに踏み跡が続いていて、堰堤マークの先まではショートカットできた。入渓した辺りから雨足が強まり、今夜焚火ができるのか憂鬱になりながら広い河原のゴーロをひたすら歩く。登山口から3時間でようやく奥三ノ沢出合へ。なんやかんやこの時点で登山口から700m以上標高が上がっており、下流部がここまで急な沢はなかなか珍しい。

 奥三ノ沢は出合からすぐに立派なF1滝が控えている。これは中央の凹角部をMSOが登攀。しっかりスタンスはあるのだが、微妙にヌメっていて1歩1歩モジモジ登っていたら時間が掛かってしまった。ビレイヤーは水飛沫が当たり続けてすっかり凍えてしまったらしい。申し訳ない。

 F1滝を越えるとすぐにF2滝。これもかなり立派な大滝。水流左が登れそうな気がしたので近くまで行って観察してみたが、ところどころ嫌らしそう。時間も押してきているので左岸から巻いた。

 F3、F4と小滝を快適にフリーで越えると、奥三ノ沢の核心と言われるF5の15m雄滝。雄滝と言うもののそこまでの荒々しさは無く、支沢の雌滝と比べるとまあ消去法で雄滝かなぁという感じ。

 ここはヤマさんリード。雄滝と雌滝の間の草付きスラブを登るところまではスムーズだったが、凹角の泥付きに突入してから何だかずっともぞもぞしている。下から見るとそこまで悪いようには見えなかったので不思議に思っていたのだが、フォローで登ると納得。凹角泥付きから藪に抜ける1ムーブがかなり悪い。細かいスタンスに足を掛けて少し遠い灌木に手を伸ばさないといけないのだが、態勢が窮屈で身体をなかなか起せない。少しだけムーブを考えてみたが、頑張って自力で登ろうとすると時間が掛かりそうだったので、さっさと諦めてロープを手繰って登った。ちなみにリングボルトが付いているので最悪A0すればどうとでもなる。ヤマさんにどうやって登ったのか聞いたら、リングボルトには頼らずに勇気を出して突っ張りムーブで突破したらしい。お見事。

 F5滝を越えるとすぐ左岸側に3~4人くらい寝られる幕営適地。地形図上ではゴルジュの真っ只中なのはずなのだが、ここだけは穏やかな空間になっている。その先も偵察してみたが、他に幕営できそうな場所はなさそう。薪も豊富で、朝方の雨で火が付くか心配だったが意外とあっさり燃えてくれた。ちなみにどうでもいいのだが幕営地から先は沢の中でも電波が入った。

・7/21(日)

 今日は700m遡行してから1700m下降の長丁場なので早朝からスタート。幕営地を出てすぐにF6滝を直登し、さらにF7滝を左壁から越える。

 間髪いれずにF8滝。立派な斜滝だが、逆層になっていて登れそうにないので左岸から高巻く。リッジまで巻き上げると眼下に木曽の雲海、今日は晴れてくれそうだ。リッジには薄っすら踏み跡が付いており、それを辿ると簡単に滝上に復帰できる。

 F9~F11を順調に越えると、F12の3段12m滝。ここはMSOリードで突破。1段目を右から越えてから水流左に横断するのだが、驚くほど水が冷たくて絶叫。雪渓は残っていないだろうから恐らくキンキンに冷えた湧き水がどこからか流入しているのだろう。2段目以降は水流左の壁を快適に登攀し、ブルブル震えながらフォローが上がってくるのを待った。

 F13を越えるとゴルジュが終わり開放的な渓相になる。稜線はガスに隠れているが青空は見えていて気持ちがいい。F14とF15はどれのことなのか良く分からなかったが、ともかく快調に高度を稼いでいく。

 だいぶ水量が減ってきたところでF16の20m滝。これも高度感はあるがホールドスタンスは豊富なのでフリーで突破。稜線まではまだ標高差300m以上あるのだが、この滝を越えると急に沢は枯れてしまう。側壁の岩の隙間から湧き水が流れ出ており、この湧き水が奥三ノ沢の最初の一滴のようだ。キンキンに冷えていて大変美味しかった。

 F16滝から先の詰めは残念ながらガスの中。難しいところはなくサクサクと標高を上げていき、幕営地から3時間ちょっとで三ノ沢岳山頂に到着。稜線まで藪漕ぎはほぼゼロだった。主稜線から外れたピークだというのに山頂には続々と登山者がやってくる。意外と人気があるらしい。ちなみにそのうち一人は会員のK谷さんだった。

 山頂で長めの休憩を取ってから三ノ沢を下降開始。下降点を見定めながら尾根筋を下りていくと、運が良いことに急にガスが晴れてきた。滑川本流がはるか下に見えてげんなりするが、下降のポイントを目視できるのは大変ありがたい。

 三ノ沢の源頭部はかなり急な斜面だが、藪を繋いで割とスムーズにクライムダウンで下りていける。が、やがてゴルジュ帯が始まり時折10~20mほどの大きな滝が現れ始める。大岩だったり、側壁の細い木の幹だったりを支点にしながら合計4回の懸垂下降を経てco2100付近の二俣へ。下降を始めてすでに4時間半も経過してしまった。

 二俣の先もしばらくは急な下りだが、沢は開けていて難しい箇所はない。どこから落ちてきたのか不思議な巨大な岩や、左岸から流れる美しい大滝を横目に進むと、やがて最後の大滝が現れる。

 7年前に同ルートを遡行したH光パーティーの記録だと残置ハーケン2枚で懸垂下降したら、途中で片方抜けたと恐ろしいことが書いてあったが、まさにその時のままの状態で残置ハーケンが残っていた。ひょっとしたらこの7年の間、他のパーティーの入渓は無かったのかもしれない。残置ハーケンを打ち直し、さらに念のため1枚新しいハーケンを残置して懸垂下降した。

 最後の大滝を越えると後は平凡な河原をひたすら下るのみ、大滝を懸垂下降してから出合までも意外に長く、1時間弱でようやく滑川本流に合流。そこからさらに往路の面白みのない河原を強烈な日射を浴びながらひたすら歩き続け、17時過ぎに登山口に到着した。

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