越後 北ノ又川本流 2024/9/6-8

活動記録

〇メンバー

L MSO(記)、さとけん、よりより

〇タイムスタンプ

9/6(金) 晴れ

白銀の湯7:20~8:30岩魚沢出合~9:35滝ハナ沢出合~10:10芝沢出合~12:10 大ビラヤス沢出合~14:00 坂倉沢出合~15:15 シッカイ沢出合(C1)

9/7(土) 晴れのち曇り

C1 6:20~8:20大ヒカバ沢出合~9:10シッカイ倉沢出合9:30~13:30上部二俣14:00~16:20中ノ岳~16:30中ノ岳避難小屋(C2)

9/8(日) 曇り時々晴れ

C2 11:50~中ノ岳12:00~十字峡14:40

○報告

・1日目(9/6)

 北ノ又川左岸の舗装路を歩き始め、坪倉沢を少し下って北ノ又川に合流する。しばらくは川幅も広く、ただの河原歩きだが本流遡行が始まったわくわく感で足取りは軽い。所々にまだ濡れている人の足跡があって、わざわざ有給を使って北ノ又川に訪れる物好きが他にもいるのかと驚いた。(ちなみにこの足跡の主も本流を遡行していて、2泊目の避難小屋で遭遇した)

 さすがに河原歩きも飽きてきたところで岩魚沢出合。貧相な出合で岩魚がいるようには到底思えない。出合を越えた先で川は右に90度屈曲し、急に1/10ほどの川幅のゴルジュの瀞が現れる。箱淵だ。あまりに急すぎる渓相の変化に驚きながら、これから始まる泳ぎパートに向けてさとけんさんとよりよりさんはウェットを着始めた。ちなみに僕はフラッドラッシュのみ。

 前情報の通り、湧き水が豊富に出ているようで、胸以上が長く浸かっていると寒いというより痛い。ただ、ゴルジュといってそこまで閉塞感はなく日差しが当たるのが救いだ。

 箱淵から1時間ほどで滝ハナ沢出合へ。越後を代表する名渓だが意外にも出合は穏やか。本流は相変わらずゴルジュが続くが、やはり側壁は寝ていて閉塞感はなく、天気も相まってエメラルドグリーンに輝いた水面に癒される。30分ほど進むと、側壁が徐々に狭まってきて芝沢に出合う。

 芝沢出合を越えた先は、古い記録だと埋まっていると書かれているものもあるが、最近はすっかり石は流されたようでがっつり泳がされる。しばらく泳いだりへつったりを繰り返しているとやがて右岸から3mほどの小滝で大ビラヤス沢が合流する。ここはさとけんさんがロープを引いて突破。おかげで後続は楽をできた。今までと違って流れが強く、平水でないと水線突破は難しいだろう。ちなみに去年の荒沢岳集中の大ビラヤス沢Pの記録では出合の滝を右岸側から登ろうとして苦労しているが、本流を泳いで左岸側に回りこむと簡単に突破できる。大ビラヤス沢もいつか行ってみたい沢なのでいい下見が出来た。

 大ビラヤス沢を越えると一度側壁が高くなる。左岸には大きくハングした岩壁、右岸には岩の隙間からすだれ状に湧き水がさらさらと流れ落ちていて威容な光景だ。その先には水線突破は厳しそうな4m滝があり、これは左岸からロープを出して高巻く。最初の方がスタンスの高い段々の斜面になっていて、一カ所カムエイドで突破した。

 ようやく湧水帯を越えたのかこの辺りから多少水温が上がる。相変わらず冷たいことに変わりはないのだが痛いほどではない。坂倉沢出合を過ぎ、1時間ほどでシッカイ沢出合手前の2条10m滝。水流左のバンドから落ち口に向かって登っている記録もあるが、落ち口手前が悪そうなので無理せずに右岸から小さく巻いた。滝を越えると10分ほどでシッカイ沢出合。

 ここは平らな広いスペースに豊富な薪、さらには腰掛けたり寝っ転がったりできる大きな露岩もある極上の幕営地になっていた。個人的に今まで泊まった幕営地の中でナンバーワンかもしれない。ぶなが誇る美食家沢ヤの美味しいおつまみとご飯に舌鼓を打って、満天の星空の下楽しい夜を過ごした。カマンベールチーズは焼くと美味い。

・2日目(9/7)

 シッカイ沢出合から大ヒカバ沢までがハイライトと良く言われている区間。出合を過ぎてすぐの小滝群を越えると、早速劇場型の2段7m滝。白い大きなブロック状の岩床に、そそり立つ側壁がマッチしてとても美しい。さらに滝を越えると水流がブロック状の岩の間を水路のように細く流れていてこちらも目を引く独特な景観だ。

 その後もしばらく美しいゴルジュ帯は続く。基本的には浅いが、時折短く泳がされるポイントもある。大ビラヤス沢を越えて多少水温は上がったとはいえ、日が差していない朝方の泳ぎはしんどい。ゴルジュ帯最後の15m滝は右岸からの高巻き。藪を伝って懸垂下降無しで復帰すると、すぐそこが大ヒカバ沢出合になっている。

 大ヒカバ沢出合を越えてしばらくすると沢は開け、癒しの渓相になる。大ヒカバ沢出合から1時間もかからずにシッカイ倉沢出合へ。広い河原でこちらも快適な幕営地だ。

 ここから本流は滝沢と名前を変える。その名前に反してしばらく穏やかな河原を歩くと、標高1200m付近で大きな雪渓が現れた。安定してそうだったので上に乗ってみたが、雪渓の切れた先がゴルジュになっていて、ボラード懸垂しないと沢床への復帰が難しい。一度戻ってから今度は雪渓を潜って通過した。雪渓の出口はトイ状の小滝になっていて泳ぎからの突っ張りムーブ。雪渓でキンキンに冷やされた沢は強烈な冷たさで、思わず声が漏れそうになったが必死に抑えた。

 しばらく進むとco1300m三俣手前でまた大きな雪渓が現れる。アカズキ嵓沢の出合まで雪渓の上を進めるかと思ったら、出合のすぐ手前で雪渓が割れてしまっており通過不可能。出合手前から左岸のザレ斜面を登ってアカズキ嵓沢に合流しようとしたが、これが結構悪く、先に小尾根まで上がったさとけんさんにお助け紐を出してもらう。

 苦労してガレ斜面を登ったものの行く手には登るのが面倒くさそうな滝が控えている。左壁から登れるような気もするが、時間もあまり余裕がないのでそのまま左岸を樹林帯まで巻き上がってから藪を伝って滝上に復帰した。

 アカズキ嵓沢に入るとすぐに2段30mの大滝。左岸と右岸どちらも巻いている記録があるが、滝は右曲しているので左岸巻きが早い。樹林帯までの草付きが少々スリッピーだが、チェーンスパイクが良く効いて快適そのものだった。今回初めてチェーンスパイクを活用したが、雪渓や草付き高巻きの多い沢では有用かもしれない。15分ほどで滝上へ。ここも懸垂は必要無かった。

 大滝を越えて10分ほど進むと、また大きな雪渓が現れる。それにしても、去年の同じ時期の記録に比べて雪の量がかなり多い。麓の累積積雪量は去年より今年の方が少ないくらいなのだが、気温が高く麓は雨が多かっただけで、標高1000mを越えると逆に今年の方が雪は多かったのかもしれない。3月に入って急に大量の雪が降ったのも一因だろう。とはいえ、お盆に遡行した飯豊の裏川には雪渓はほとんど無かったのだが…。

 この雪渓はそのまま標高1600m付近の上部二俣まで続いていて、時折薄くなっている箇所を回避しながら、結局40分以上雪渓の上を歩くことになった。日差しが雪に反射して目が痛い。

 長い雪渓歩きが終わる頃には水流はすっかり細くなり、これから向かう右沢は完全に枯れてしまっている。寝れそうな平地があればここで行程を打ち切るつもりだったが、ろくなスペースは見当たらず、諦めて明日までの調理水と行動水を1人3リットル以上汲んで山頂を目指す。詰めはそこまで難しくはないボルダーチックな枯れ滝が連続して、重い荷物を担いで登るのはなかなかしんどい。ガスが湧いてきて暑くなかったのが救いだった。

 上部二俣から約2時間で中ノ岳すぐ脇の稜線に藪漕ぎなしで詰め上がる。天気が悪い事もあって山頂すぐ近くの避難小屋には同じく北ノ又川本流を遡行した2人組のパーティーとハイカー1人しかおらず、広いスペースを快適に使うことができた。

・3日目(9/8)

 山頂の集合時間リミットは12時。我々は他のパーティが来るのを小屋で待つだけなので、目覚ましも掛けずに優雅に起床。暇になってしまうことを心配していたが、8時過ぎには早いパーティが上がってきてくれて、喋っていたらあっという間に集合時間になった。今年の沢集中は残念ながら1パーティは間に合わず、集まったメンバーで記念写真を撮り、十字峡まで2時間半で駆け下りた。

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