有明山 深沢右俣正面壁 中央ルンゼ アイスクライミング 2025/2/22-24

アイスクライミング

【メンバー】 Lクロスケ(記)、N島

【タイムスタンプ】

2025/2/22 7:00 ゲート手前発 – 9:00 観音峠 – 12:00 右俣 – 14:00 正面壁手前岩陰 泊

2025/2/23 5:45 テン場発 – 6:15 中央ルンゼ取り付き – 12:30 終了点 14:00 取り付き – 15:00 泊

2025/2/24 5:00 テン場発 – 5:50 右ルンゼ取り付き 6:20敗退 – 7:30 テン場発下山開始 – 12:00観音峠 – 13:30 駐車場


元々狙ってたルートの条件が悪く、突然決めた有明山。転進でいくには攻めた選択でしたが、いいタイミングで行くことができました。

ラッセルを覚悟していたのに、他に強強2パーティー(いずれも知り合い)が入っていたので、予想以上に楽に行くことができてしまいました。そんなに雪はなかったとはいえ素晴らしいルーファイで、完全にトレースにあやかってしまいました。ありがとうございます。

観音様にご挨拶。そこかしこから湯気が立ち上がっていて温泉が沸いているのがわかる。

深沢へ入渓。渡渉はなんとか繋がっていて助かった。

雪は少なそうなのでここにわかんを残置していく。

右俣の前衛滝。先行がもうすぐ抜ける頃合い。念の為ロープを出した。

2パーティーとも初日に中央ルンゼを登攀してた様ですが、我々はそんなに強くないので、初日はアプローチのみ。

とはいえ沢の中にそこそこ氷瀑があるし、とても面白い地形であちこちに気になる氷瀑があり、アプローチも楽しいかった。高巻きの中には雪がかぶさっている岩壁があったり、軽い藪漕ぎがあったり、スカ氷の登攀があったりと、ゲレンデの氷にはないようなアルパイン要素が詰まっている。

雪崩リスクは0ではないが、良い感じの岩陰にテントを張り女子2人の気楽な幕営。水もすぐそこの沢で汲めた。標高はそんな高くないが快晴だったため、それなりに冷えた。


翌日は、中央ルンゼへ。

見事な大氷瀑で、期待に胸が高鳴る。。。このロケーションでこの氷瀑は激アツっす。振り返ればなんと富士山も拝めるのだ。

立ちはだかる氷瀑はトポより難しそうで、1段目からなかなか立ってやがる。。

気合いをいれて取り付き。奇数ピッチの核心を登らせてもらいました。

1P 50m Ⅴ クロスケ

この景色を背負って登ってくるフォロー、ロケーション最高。絵になるわー。

2P 25m Ⅳ+ N島

上部のぶったち手前、右端の窪みまで。

3P Ⅴ+ 50m クロスケ

特に核心となる3P目はとても複雑な形状で、亀裂もたくさん見えるし、嫌な音はするし、ライン取りに苦労しました。結局弱点の中央ラインまでトラバースして、ルンゼ形状を抜けて安全地帯まで。

トラバースは慎重になりすぎてテンション入り、悔しい。。

東南面で日差しも入るから溶けて凍ってを繰り返して、絶妙な形を形成してるのかも。ここぞって時のスカ氷でピッチ切る支点作りも悩みに悩んで、結局安全な氷まで懸垂してくる、という無駄な時間を使ってしまいました。

4P Ⅳ+ N島 55m

出だし5mだけ立ってて、あとは緩い斜面に。

氷瀑上に到着。適当な灌木で懸垂開始。

抜けた後も懸垂支点作りに手間取り、結局登って降りるまでに7時間くらいかかってしまいました。根本が雪に埋まった灌木の懸垂はすごく揺れるし、作ったアバラコフはスカ氷で、結構緊張した。。60mいっぱい3回で地上に降り立った時は安心した。

右ルンゼは見るからに厳しそうだから、帰るか。

と話していたけど、テン場から見る上部氷瀑は立派で諦めきれず、有明山にまた来る機会もそうそうないだろうから、ということで予定通り延長線。

左が登った中央ルンゼ。右上部に見えるのが右ルンゼ。2本の氷が見えるが、繋がっているかは怪しい。

取り付きで星空鑑賞して時間調整。

時間がかかるだろうから。

と、日の出とともに登攀開始した右ルンゼは、出だし2ピッチ分が岩壁のライン。

岩に土がついて、ところどころ藪が生えている程度の壁は、見るからにプロテクションが取れなそう。取り付いてみると思ったより傾斜も感じる。

5m程度上がったところで、ここから先は登ったらクライムダウンは厳しそうな岩のセクションに出くわす。

これは、プロテクションなしでは突っ込めない。

突破したとして、敗退できる支点もなさそうに見える。

記録はあるし、前日に登ってるクライマーもいる。

でも、諦めたくはないけど、これは今の自分がやるにはイタかバチかが過ぎるな。

アルパインクライミングに正面から敗れて、大人しく敗退を決めました。

取り付き時間も30分程度で、何のために1日長く残ったのか。と嫌気もさす。

下山中も振り返るたびに、

「今からでももう1回トライすれば、行けないだろうか」

「どうしたら登れたんだ?どうやって登ったんだ?」

「立派な素晴らしい上部氷瀑に触りたかったなぁ」

と、後ろ髪は鷲掴みされてた。  (後ろ髪なんてほど、髪は長くないんだけど)

多分、正しい選択だったし、

初見でないわ、改めて見てもないわ。と2回ないと判断したルートだから、やっぱりなかったね。という、ただの確認で、それ自体は確認できてよかったんだけど、

なんかね。

たかだか数メートル進んで敗退したことが、

アルパインクライミングに関わってる人間として、もっと粘れなかったのか!と。

泥臭く粘り強く登ってきたクライマーをたくさん知ってるから、余計悔しいのよね。

ふがいないよね。

有明山には行けたし、一応1本は登れた。

でも、

内容はどうだ?

何ができたんだ?

人が作ったトレースで楽して行って、狙ったルートはテンション入るわ敗退するわで。

全くもって、実力に見合ってない山行じゃないか。

会の新人にはもっとこうして欲しいよね。とかさ。

山を甘く見てる人が多すぎる。とかさ。

人のこと偉そうに言えないよね。ほんと。

猛反省な山行内容でした。

とはいえ、

トライすること自体はとても大事だし、

ちゃんと行って、登って、帰ってきたので、それぐらいは褒めてやってもいいかな。

その、行くか、帰るか。の、

丁度いいバランスを見極めるのが、アルパインでは生死を分かるから難しい。

基本は、絶対行ける。でしか行っちゃだめだけど、

その「絶対行ける」って、なんなんだろ。感覚としてはなんとなくあるけども。

それを実現するのが、はせつねさんが書いてる、

落ち着きからもう1段高めた、「動物的とも言えるカンを養い、研ぎ澄まされた精神」なのかな。

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