飯豊 胎内川本流 大黒沢 坂上沢右俣 2011/8/12-15

沢登り

■メンバー
M浦L、M田

■コースタイム
【1日目】
6:45胎内ヒュッテ~ 8:50楢木沢~ 11:03薬研沢 ~13:00団子河原~ 14:20西俣沢出合BP

【2日目】
BP6:30 遡行開始~ 13:30 坂上沢出合~ 15:00 本源沢を経て坂上沢着沢~ 17:00 作四郎沢出合先の BP

【3日目】
5:30 遡行開始~7:30 坂上沢左俣スルー~10:40 坂上沢右俣奥の二俣~12:52 連瀑帯 12 段 100m~15:30 奥奥の二俣~16:00 最後の滝上 1300m 付近BP

【4日目】
5:00遡行開始~ 5:20水涸れ~6:20胎内尾根~7:00二つ峰三角点~11:45門内岳山頂12:20下山開始~13:20頼母木小屋~16:15下山~16:30胎内ヒュッテ

■ 報告

夏の沢合宿は飯豊ということで、K玉、M田、三浦の3名全員一致で流麗耽美な名渓として知られる胎内川の遡行を計画した。胎内川は数多い飯豊の本流筋の中でも3本指に入るであろう秀渓で、近いうちにダムで下流が埋没する可能性があり、是非ともその前に遡行しておかなくてはならないところであった。

当初、上部は本流より快適と思われた坂上沢左俣を遡行予定であった。
その後、直前でK玉君が腰痛リタイアし、天候も芳しくない予報であったので代替案検討も含め 1日出発を遅らせたが、天候も好天に転じ予定通りの遡行となった。
水量、雪渓、メジロの3つが完登のポイントだったが全てに関してが我々に見方した。
予定通り下部廊下を通過後、上部で計画した坂上沢左俣はみるからに貧弱な支流であって、しょせん貫禄のある本流にはかなわなかった。

見落としもあったのだが本流遡行を敢行した。左俣を過ぎてからの本流には依然として勢いがあり、迫力ある滝群にしばしば巻き上げられたが、上部は登れる大滝もあって結果的には満足のいく内容が得られた。
稜線に抜けた後の藤七の池から門内岳までは、期待していた登山道などいっさいなく太古の自然に戻っていた。
激藪も含め 6時間の藪こぎが本流遡行の価値をさらに高めたといえるだろう。

■ 8/12 くもり時々晴れ

前夜に中条入り。早朝タクシーで胎内ヒュッテまで。7 時前、ダム工事の状況がつかめないのでヒュッテ裏から河原に降り、バックウォーターを渡ってアゲマイノカッチ越えで胎内川支流楢ノ木沢に入渓する。
下降して出合の滝を巻き待望の胎内川へ。水量は平水以下5cmくらいだが流れは速くあなどれない。
ゴルジュ状の渓相を徒渉をくりかえしながら遡行してゆく。

ニセ浦島手前で泳ぎ、ザックピストン。思いのほか水が冷たく雪渓があることを予感させられる。
ニセ浦島は胸程度で通過。浦島の長い直線水路は迫力があった。
ここは増水時は巻きになるだろう。ゴルジュを抜けて団子河原で釣り。ややアブがうるさい。
ここで泊まることも考えたが時刻は13時過ぎでまだ早すぎる。
さらに西俣沢出合まで遡行し、西俣をすこし入った右岸の小さな台地で 15:00 幕営する。

■ 8/13 くもりのち晴れ

6時発。本日が下部ゴルジュ核心部の通過だ。ガイド通りの遡行で12mの直瀑と4mCS 以外は滝を快適に直登する。
懸念していたスノーブリッジは崩壊したものが壊れた堰堤滝手前のみにあった。お約束の胎内潜りはM田さんがリード。楽しいところだ。
ゴルジュ最後にある4m CS の滝は左のスラブが悪く、少し戻ってリッジ状の側壁から巻くがここも少し悪い。
灌木ラインをトラバースして30m 懸垂で降りると本源沢出合はすぐである。出合から本流を進むと水路が左に折れた先に 2連の釜のある 15mの直瀑にぶつかる。
最初の滝は右壁のバンドを登れそうだが次がやっかいそうで巻くことにする。

巻きは戻って本源沢の最初の連瀑を登って尾根を越えを選択。
本流に戻り少し滝を登ってから 2 回ほど滝を高巻いて作四郎沢出合へ懸垂下降する。
さらに本流の小滝のいくつかをシャワーで登って快適な河原で 16:00にビバークした。

■ 8/14 晴れ時々曇り

5 時半発。最初の 15m滝はM田さんが見つけた左壁のラインを登る。さらに粘れば登れそうな滝が続くが左を巻き、河原状へ。
ここで貧弱な左俣の滝を見落とし、さらに本流を進んでしまう。いくつか滝を登ってさらに悪い滝2つを左から高巻く。
ここで左俣を過ぎたことに気づくが戻るのはやめて本流を遡行することにした。懸垂でおりてすぐに奥の二俣となる。
これを左に入ると狭いゴルジュの連瀑となる。

これを右から巻いて懸垂でおりるがさらに奥に連瀑があり、今度は左の快適な花崗岩ルンゼから巻く。
降りると地形図で最後のコンタが詰まった地点、大滝を含めた12連瀑(約 100m)が始まる。ここは快適に登れた。
抜けると源流の趣となるが、まだやっかいな滝が幾つか現れる。登れるものは登り、ダメなものは巻く。
1300m地点に適地を見つけ 15:30 幕営。焚火はできなかったが景色のよい場所だった。

■ 8/15 くもり時々晴れ

5 時発。最後の涸滝10mを慎重にフリーで越えると詰めとなる。
露岩地帯と藪が交互に現れ、中間尾根最上部に飛び出る。そこから二ッ峰 1642mまで少しの藪こぎで達する。
7:00山頂着。M田さんと胎内川完登の握手を交わす。
そこから藤七の池までの急斜面を下り、池で体を冷やす。

池から門内岳までは、期待していた登山道などいっさいなく太古の自然に戻っていた。
強烈な竹藪こぎを含め5時間の藪こぎで門内岳に正午前に抜ける。
門内小屋の冷えたビールで一息つく。後は花咲く登山道を仲間の待つ胎内ヒュッテへ向かう。
ヒュッテ 16:30 着、無事下山。


● 感想(M浦O介)

M田さんは強靭な体力の持ち主でフリーの能力も高く、スピーディーな行動が可能であって理想的なパートナーでした。
丸四日間かかる本流遡行は今回初めてということですがこの経験を生かし総合的な渓谷遡行能力をさらにあげていってもらいたいと思います。
今回は雪渓処理がほとんどなかったのが唯一の心残りだけどまあそのうち経験することでしょう。
また機会があったら一緒に行きましょう。

山行中のヒヤリ・ハットはゼロでした。個人的には左俣の見損じ、ザック釣り上げの際に少し生地を岩角に引っかけたこと、あともう少し滝登りにトライしてもよかったかなと思うのが反省といえば反省です。
胎内川は少なくてもあと数年は遡行チャンスがあります。お勧めの 5 級のスタンダードな渓です。
どなたかまだ会では未遡行の左俣に是非行ってください。

● 感想(M田M香)

今回は雪渓もアブも雨もなく平水(むしろ渇水に近い)という好条件に加えて、O介先輩という最強パートナーに見守られ、リーダーの総合力で最弱点をついた、安全第一で楽しく快適な遡行となりました。
苦手な草付きや、視界の悪い高巻きや薮漕ぎでの声かけに助けられ、坂上沢左俣をスルーしてショックだった私に「左俣はちゃっちくて気づかなかったんだ。まぁ、そういうことにして本流を進もうよ?」という言葉に励まされました。
あんなに計量化したザックから、毎晩次々とオシャレフードが出て来てびっくり!
O介さんの食事はとても美味しかったです!

飯豊の山深さと先輩の遡行に対する考えの奥深さにふれる事ができ、私にとって思い出深い山行となりました。
O介さんありがとうございました!この心持ちを大切に、更なる山の深みへと挑戦して行きたいです。


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