小谷温泉~天狗原山~焼山北面台地~笹倉温泉(スキー縦走)
3/10(土)小雪 のち 曇り時々晴
小谷温泉6:20→林道1055m7:50-8:10→天狗原山頂上15:20-40→先のコル16:00
低気圧通過中で気温が高く、小雪が舞う中、小谷温泉に車をデポして出発。
ザラメ上の旧雪層に新雪が乗った状態で、シールが滑る。。
予想よりも時間がかかって天狗原山着。
雪質不安定(10~20cmの新雪層のなじみ悪し)&視界不良&時間が遅いことから金山谷滑降~影火打ルートは諦める。
稜線通しに焼山まで行くことにし、金山とのコルまで滑ってテントを張った。夜は風も無く静か。
3/11(日)快晴 のち 曇
コル6:20→焼山10:40-55→北面台地合流13:15-40→笹倉温泉15:00
予想に反して大快晴!気持ちよく稜線伝いに富士見峠までシールで歩く。
クラストしているかと心配した焼山の登りも新雪がうまく乗って安定しており、快調にジグを切る。
強風の中、頂上直下の斜面は空荷&アイゼンで登頂。
下山中、シーデポ地点から火口壁のトラバースで、トップの松平が亀の甲羅状の雪崩を誘発(幅30m、長さ20mの範囲が一気に崩壊・サイズ1.5)。
スキートラバース中の刺激が、風下斜面のウィンドスラブ(厚さ15㎝)全体に伝播した模様。
幸い発生の瞬間、小さい尾根上にすばやく逃げたため巻き込まれず済んだ。つい1時間前の行きのトレース付近を進んだのだが、油断大敵だ。
この時点で、飛雪が吹き溜っていそうな北面台地最後の斜面(北北西面)からの滑降は止め、雪質確認済みの往路斜面(西面)を少し降りてから、北面台地にトラバースすることにする。
その後、往路の斜面を100m程滑り(安定)、北面台地からの通常ラインに合流しようと下り気味にトラバース中、トップのM平がシュカブラ状の斜面を横断中に再びウィンドスラブ雪崩を誘発(厚さ20cm。幅15m、長さ20mの範囲が亀の甲羅状に崩壊・サイズ1.5)。
体勢を保ったまま3mほど流されたが、踏ん張って止まった。。
雪崩で露出した旧雪層を、なるべく傾斜の緩くなる所まで下ってからトラバースを再開したが、シュカブラ状のウィンドスラブを横断する際に2度ほど亀裂が走り、恐ろしい。
さらに下降し傾斜が緩くなると雪崩の恐怖はなくなったが、今度は溶岩流出によって深くU字型に穿たれた谷いくつか越えなければならない。
越えられる箇所を探しながら広い尾根沿いにかなり下(1540m位)まで降り、沢の弱点を渡る。
北面台地まで100mくらい登り返して北面台地ルートに合流。
そこからはシュプール沿いに、モナカ気味の雪をヘロヘロになりながら下山した。
<今回のヒヤリハット>
事象:雪崩誘発2回
場所:焼山頂上直下(火口側壁2380m・北面)、焼山北西面2200m付近
原因:スキートラバースによる刺激
発生時間:3/11 11:30頃、12:00頃
被害:なし
周辺状況:
・前日昼頃まで、低気圧通過に伴う降雪あり(新雪15~20cm)
・前日、天狗原山の登りで、20cm下の融解凍結層を認識していた
・当日は朝から快晴
・焼山周辺は風速5~10m位、頂上付近は15~20m位で、飛雪が舞っていた。
・自然発生雪崩は観測されず。
反省点:
・1回目について
登頂前後で風が強く、快晴だが飛雪が舞っていた。登頂後デポ地点に戻ると、スキー&ザックが短時間でかなり埋まっていたことに気づいていた。
行きに通過した斜面を安易にトラバースせず、いったん火口の底(標高差で25mほど)まで降りてから横切るべきだった。
・2回目について
過去に北面台地に行った経験(松平)から、U字谷の横断を避けたいため、なるべく標高の高い箇所(平均傾斜25~30°)をトラバースして回り込むことばかりを考えていた。
特に、滑り出しの往路斜面は安定していたため、北面台地方面へのトラバース開始後、雪質の変化(融解凍結層の上に風でパックされたシュカブラ状のウィンドスラブあり)に鈍感だった。
傾斜のきつい箇所のトラバースにこだわらず、沢の横断に苦労する可能性があっても、傾斜の緩い箇所まで降りてからトラバースすべきだった(=ほぼ夏道沿い)
良かった点:
・危険と思われる箇所は、基本に忠実に一人ずつ通過していた。2回共、トップ以外は安全地帯でウォッチしていた。
・万が一、トップが巻き込まれていたとしても、全滅する危険は少なかったと思われる。
教訓:
・飛雪は怖い。短時間で不安定な斜面が形成される。
・向きの違う斜面に入る際は慎重に。
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