期日:2012/7/28~29
○メンバー:LN島S子、A久T也、S藤D介、K田C佳
○報告(A久記)
北ノ又川の支流と言えば滝ハナ沢や芝沢が人気だが、それはいずれも左岸にある。左岸には尾根上に越後駒への登山道があり下山が容易だからだろう。逆に右岸の支流は稜線上に登山道がないためか記録は少ない。今回合宿訓練で向かったのは右岸にあるオオビラヤス沢。以前から行きたい沢のひとつだった。猿ヶ城の大岩壁を間近に見ることができるし、荒沢岳の偵察にも行きたかったので絶好の機会となった。
●28 日
白銀の湯P-7:00 坪倉沢から入渓-8:00 箱淵-10:15 オオビラヤス沢出合-16:50 大滝上BP
シルバーラインから銀山平に入る。目に飛び込んだ山並みには、なんと稜線直下までいくつもの大きな雪渓が。今年は梅雨時期に雨が少なかったので、多いだろうとは思っていたが、こんなにあんの!? 先が思いやられる。
支流の坪倉沢から入渓。ほんのちょっと下降すると北ノ又川本流に降り立つ。川幅は広く、水深も足首程度でどこでもジャブジャブ歩ける。雪渓から流れ落ちてくるせいか水は冷たく、普通に歩いているだけで足がシビレてくる。口に水を含むと冷蔵庫で冷やした麦茶くらいの水温。
1時間ほどで岩魚沢を右岸に見送り箱淵到着。水が冷たいので泳ぎを躊躇していると、なんとS子さんが一番に泳ぎだす。以前に来た事があるとはいえ、大水量の沢ではいつも一番後ろなのに岩魚のように美しく泳いで嬉々としている。ここの泳ぎで全身ズブ濡れになり、みんな震えが出始めたので滝ハナ沢出合の河原で甲羅干しタイム。
芝沢出合より本流はゴルジュの様相になるが、明るく低いゴルジュで泳ぎ突破するような場所はなかった。唯一ウエットを持ってこなかった私は少しホッとする。ゴルジュの幅が狭まり、廊下状になったあたりで目的のオビラヤス沢が3m滝となって右岸から落ちてくる。
最初はナメ滝が続き、すぐにトイ状 5m滝となる。ここでロープを出すがヌメッていて離陸が難しい。続くはゴルジュ状で屈曲した釜を持つ小滝。飛び込んでシャワーをくらいながら這い上がると、凹部に 6m直瀑。左のルンゼに活路を見出そうとするが案外悪く、右の乾いたスラブをS子さんが空荷でリード。途中、2つハーケンを打つがいずれも下向きで、私やD介がリードで落ちればたぶん抜けそう。「仕方ないじゃん」って言いながら突破するS子さんはやっぱりスゴイ。
その後は幅1m程度の低い廊下が50m続く、泳ぎとツッパリで滝を越える。いよいよ地形図上のゴルジュ帯に突入すると、すぐに雪渓が行く手を阻む。シュルンドに気をつけながら、雪渓上を歩き、先端が近づく前に左岸の草付からブッシュ帯へ高巻き体制に突入。対岸には猿ヶ城の大岩壁が迫り、雪渓ので先で屈曲した沢の様子は見えない。大滝の存在は事前に把握していたけど、その姿は今の角度からでは確認できない。我々がいる左岸も前方には岩壁が大きく露出し、これからの巻きが面倒な事を示唆している。2時間で200mくらい巻き上がり、緩くなったブッシュ帯の支ルンゼから沢に復帰すると、ドンピシャで大滝の落ち口付近に降り立つ。
時間も17時前、少し休憩し3分で極上のテン場を発見。砂地で乾いた薪も豊富。対岸には猿ヶ城の大岩壁も望める。この日は景気よく、熱くて近づけないほどの大焚火。岩魚は無いので4名で900gのパスタをたいらげる。
●29 日
5:40 出発-8:00 稜線-9:00 荒沢岳山頂-13:15 白銀の湯
テン場を後にするとすぐに廊下状の小ゴルジュとなるが、昨日までの迫力と違い、水量も沢幅も小さくなり、源流の穏やかな雰囲気。摂理が発達した階段状の滝を越えると、舗装道路のような長大なナメに歓声が沸く。支流を分けるにしたがい、徐々にガレとナメが交互に現れる。
水枯れしても、なお溝状の沢形が続くので、楽に標高を稼ぐ。ブッシュが被さり、うっとうしくなってきたのでヤブ漕ぎに突入。少しヤブコギで稜線へ到達。なんと最近刈払いされた立派な縦走路に飛び出た。荒沢岳までの稜線はヤブ漕ぎを覚悟していたが、これは楽チン。越後、奥只見の山並みを眺めながら、気分よく荒沢岳のピークを踏む。
こっちが蛇子沢、あっちが灰ノ又沢。兎岳までの稜線に道ができたので中ノ岐川支流や北ノ又川支流に色々とラインが引けそうなど、次々と話が飛び出す。荒沢岳の登山道は前嵓周辺の岩の小ピークを避け、鎖場が一旦岩壁を巻きあがるような形で続く、エアリアでは実線になっているが、クライミングの範疇と思う。(特に下降は)
冬はここをリッジ通しに突破する手強い雪稜ルートとなる。小岩峰に雪が付き雪壁になるところを想像し、潅木が左についているのはこっちのライン。ここは雪崩に注意。などとイメージを膨らませつつ、下山。「行きたいリスト」は増える一方。
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