メンバー:S山L、S津、N島
●9 月 15 日(土)
出発 8:15→ 林道車止め 8:50 頃→ 登山道不明瞭地点から懸垂下降(30m)して入渓 10:00 → (途中で登山道に復帰しようとして 20 分位ロス)→ 中俣沢出合い 12:35→ 瀞淵 13:10 → タナイの滝上 15:30→ テンバ 15:45
東川口駅で集合し、東北道→磐越道で向かう。途中、震災復旧工事で 1 斜線のみの区間があり、相当な渋滞にハマる。(御神楽奥壁のH部Pは、この渋滞に大ハマりしたらしい)深夜 2時近くになって渋滞を抜けられたので、磐梯山サービスエリアにある丁度良い東屋で3時間程仮眠を取った。
仮眠後、五泉市の高速インターを降り、門原集落近くの舗装路路肩に駐車して林道歩きからスタート。林道を20分程進むと車止めがあり、沢屋と釣師と思われる車が数台。連休なのでそれなりに人が入っているようだ。
ここからは、仙見川沿いの登山道を2時間程歩いて出会いの入渓点まで行く予定。
だが、登山道はのっけから薮に覆われており、薮を漕ぎ漕ぎ進むも、左岸に顕著な支沢が入った先で完全に不明瞭になった。
薄い踏跡を追うも、どうにも藪が濃いので、沢通しに進むことに。懸垂下降25m+クライムダウン5mで沢床に降り立つ。ここでN島の服にヒルが1匹。殺虫剤で処刑して本流沿いをサッサと進む。
本流沿いは、大半が河原歩きだが、たまに深い淵が登場するため、ヘツり・泳ぎを入れて進む。
途中、大きな支沢が左岸から入っており、これを辿れば登山道に復帰できると遡行してみるも、15分程登ったところで難しい 5m 滝に突き当たり、スゴスゴと本流に戻った。
そんなことをしつつ、3時間半以上かかってようやく中俣沢の出会いに到着。登山道2時間でアクセスできるはずが、思いの外時間がかかってしまった。本流で出会った釣師の話では、登山道は出会いまで残っているらしいので、我々が見落としただけのようだ。
出会いからは本腰を入れて取り掛かる。30分ほど進むと、瀞淵が登場。両岸の高さはないが細い廊下で、50m程の泳ぎが強いられる有名ポイントだ。Wさんが先頭でラッコ泳ぎで突入。
流れがないので簡単~♪と泳ぎだすが、すぐに足が着く浅さになってしまった。
このところの渇水で水位が 15センチ程下がっているのだが、それにも増して、昨年の豪雨災害などで埋まり気味なのかもしれない。
結局、瀞淵は途中途中で足が着く場所があり、10m程の泳ぎ3箇所程度であっさり終わってしまった。
他にも似た雰囲気の淵が登場するが、どれも多少泳ぐのみで、流れも弱く、全く問題にならないレベルだった。
その後、しばしばゴルジュが登場するが、水量少なめのせいか、サクサク通過できてただの通路状態である。やがて沢が S字に屈曲するポイントになると、白く明るい、奇妙な造形のゴルジュに出くわす。
このゴルジュ自体は問題ないのだが、出口にタナイの滝(CS2m)というチョックストーンを挟んだ小滝がかかっている。
遡行前に調べた他山岳会の記録によれば、釜部分が深くなっている上に、チョックストーンが宙に浮いているので、取り付きが難しいらしく、わざわざ戻って巻いたり、突っ張りで何とか突破!のような記述があった。
こんな小滝なのに、どれほど大変なのか。Wさんがロープを付けて釜へ向かって泳いでいく。
すると、滝の真下で難なく立ち上がり、あっという間に側壁を突っ張って登ってしまった。
続いてN島が突っ張りで突入。何てことはない、ただの簡単な滝だった。
その先は河原になっており、今日の幕場はここに決定。 豊富な薪を集めて焚火を起こす。
●9 月 16 日(日)
出発 6:00 →奥の二俣 14:00 →黒い滝の巻き開始 17:30 頃 →懸垂 10m で沢復帰してテンバ 18:15
スタート直後、黒い壁に囲まれた薄暗いゴルジュになる。その奥にヨコムネの滝(CS,4m)が登場。高さはないものの、結構な勢いで水が落ちている。ネット上の他会の記録では、すぐ脇の左岸をみんな巻いている。
しばし観察の後、Wさんが空身で、取り付きの釜横のハングにハーケンを打ってスリングを足場にして、ハングの上に立つ。その後は突っ張りを入れつつ難無くクリア。
後続はハング部分にもう1本ハーケンを打って通過した。続く中俣大滝は右岸のルンゼを辿って巻く。
これを過ぎると 2時間ほどの河原歩き。その後は連瀑帯となり、直登困難な10mクラスのが連続してくる。
これらは巻くが、結構悪いボロ壁や泥壁が出てきて、4級であることを思いださせる。徐々に水量が減っていき、奥の二俣を過ぎるとチョロチョロ状態になる。
このあたりから、水量が少ないので、滝が黒くぬめっており、無駄に難しくさせている。
後半のハイライト、白糸の滝(4段70m)は、1段目、2段目はロープなしで容易に登れた。
3段目はかなり立っているうえに、黒くぬめっているので左岸の藪を巻くが、これもかなり悪い部分があった。
続く4段目も左岸を巻く。3段目の巻きは新人N島にとって、今回一番難しかったところだ。
白糸の滝を登りきると、すぐに真っ黒な垂直の滝8mが出てくる。当然ヌメヌメ。
夕闇が迫っている時刻なのだが、如何せん、滝の手前には3人一箇所で寝るのは難いくらいのスペースしかない。
チラリと見える滝上の雰囲気では、もう少しマシな河原がありそうなので、急いで左岸を巻く。
ほぼ日没となり、迫りくる藪蚊を払いながら 10m懸垂。
何とか3人寝られるスペースに降り立ち、ヘッデンでタープを張る。
焚火をするスペースもないので、サッサと夕食。Wさんが、獅子唐やキクラゲなどの乾物が入ったカレーを作る。疲れた体にスパイスが染み渡り、食欲が出て旨い。今日だけで20くらいの滝を登った。
●9月17日(月)
出発 6:10 →粟ヶ岳山頂 10:00 →山頂発 10:45 →粟ヶ岳ヒュッテ 11:20→粟ヶ岳登山口12:45
翌朝目覚めると、山頂までの残りの沢筋は、まるで奥壁と言っていいくらいバーンと迫っていた。
山頂までは標高差300mだが結構厳しそうだな、そんな予想を立てて気を引き締める。
周りは草が生えているだけで潅木はなく、開けてさわやかで5mクラスの小滝が続いて、源頭が近い雰囲気だ。
だが、この小滝が実にいやらしい。この山域に多いスラブがそのまま滝になったという感じで、外傾している上に黒くぬめっており、ハーケンが刺さりにくいものもあったりで、念の為ロープを出すので結構な時間を食う。
何個かスラブ状を乗り越えると、完全に源頭の様相を呈した、潅木に囲まれた小さな沢形になる。
普通の沢ならこのまま詰め上がり、やがて藪になって終了であるはずだが、この沢は違う。
いちいち小さな壁が出てきて、巻きを入れたり、潅木を引っつかんで登ったり、最後まで手を焼く。
それでも、残りの標高差50mほどで沢形が消えたので、そのまま高いところを目指してどんどん登る。
傾斜は強くなく藪は中程度の濃さで、10分ほど漕ぎ上がると、山頂まで30秒の登山道に出た。
10時粟ヶ岳山頂到着。山頂は天気が良く、周りの露岩が目立つ山並みや、自分達が辿った沢筋を見下ろしてのんびり休む。3日かけて登った山頂は格別だ。
下りは登山道を通って加茂市の貯水池へ。この日は台風の影響で日本海側でフェーン現象となり、新潟の平野の気温は何と37℃。暑い暑い登山道を2時間で下山した。
登山口で加茂市のタクシーを呼んだが、車をデポした五泉市に土地勘がないようで、少々迷って何とか到着。
さくらんど温泉に入浴して、渋滞を嫌って帰りは関越へ。
ほんの少しの渋滞はあったが、スムーズに車を走らせで、21時40分東川口で解散。(報告:N島)
○コメント
下田川内集中・・・広倉沢に入る予定が仙見川になり人員も減。。。
仙見川中俣沢は50mの泳ぎがいきなり出てくる。合わせると初日に100m以上泳ぐ。
たぶん。泳ぎが苦手な私はゆううつだった。
ここの所、雨が降っていなく渇水と去年の水害の影響でうまった?のとで50mの淵は私で5~6かき程度。
他の淵はしっかり泳いだ箇所もあったが流れは殆どなく猛暑で水も気持ちよく私でも楽しい遡行。
中俣沢出合いまでの遡行でお助けを出してもらったけど。(こちらは水が冷たく感じられ流れもやや速い)
ここの沢は後半一気に標高を稼ぐ。最後まで侮れない滝が次から次と巻いたり登ったり忙しい。粟ヶ岳山頂は爽やかでした。(S津)
やっぱり沢登りは面白い。そう感じさせてくれた沢だった。
下田川内、その名を聞くと身が引き締まる。その4級の沢、入るまでは少し不安があった。
だが、入ってみたら、そんなに険悪ではない。泥壁など悪いところも少しあったけれど、予想よりは楽だった。
1300mに満たない山を3日かけて登った。登山道なら3時間かからないところを、大変な労力をかけて登った。その引き換えは山頂からの景色。広がる下田の山並みの中、自分の登った谷を見下ろすと、なんだかその谷筋だけ光っているかのように思えた。達成感と充実した満足感というやつだろう。
ぶなに入会して駆け足の半年。色々なトレーニングを積み、沢を10本以上登った。山頂を踏んだ瞬間が自分にとっての今年の到達点だった。
自分の沢1年目は一区切り付いたので、2年目に向けて、自分の技術を固める段階に入りたい。
と偉そうなことを書きましたが、予想より楽に感じたのは、先輩方のおかげ。とくにWさんにはお助け紐を何度も出していただきました。S津さん曰く「Wくんは手足に吸盤が付いてるんだよ」とのことです。Wさんスゴイなーと単純に思った沢旅でした。(N島)
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