穂高 滝谷 ドーム中央稜 2012/9/15-16

アルパイン(夏)

メンバー: L S原 N野

「飛ぶ鳥も通わぬ」という枕詞で語られることの多い滝谷だが、普段なかなか足を伸ばす機会がない。今回は滝谷の中で岩質の安定しているとされるドーム中央稜を登ってきた。3000m級の稜線に位置するドームでは、短いながらも快適なクライミングを楽しむことができた。

9/15(土) 快晴~霧、小雨
前夜新宿発~沢渡仮泊、沢渡500-上高地BT550-1050涸沢-1500北穂山荘

初秋の3連休とあって、上高地~穂高周辺は大混雑。紅葉真っ盛りの10月の連休はラッシュ並みだろう。
横尾本谷に入ると、左手には屏風岩が聳え立つ。快晴で細部まで見渡せるだけに、厳しい表情に見える。ここを登るのは、いつになるだろうか。

9/16(日) 快晴、時々曇り
小屋発450-515下降点-600取付、登攀開始920-1300終了-1520涸沢-1930上高地BT-帰京

前夜の小雨も上がり、朝から快晴。縦走路を奥穂に向かい、最初の鎖場の後の×印から下降する。朝焼けの奥穂が美しい。岩陰に荷物をデポし、ザレ場を右手に15分ほど下る。踏み外せば数百m下の谷底まで落ちていきそうだ。注意して見ると右のリッジにしっかりした懸垂支点。約25m懸垂下降し、草付きを右にトラバース。リッジを登った上のテラスが取り付き。

P1 IV 30m S原 凹角から狭いチムニー
上部の狭いチムニーは、ザックをぶら下げてずり上がり、すぐに左上に抜ける。チムニー上でビレイしたが、トポ通りならその上のカンテ上か?
P2 V 40m N野 カンテ沿いからフェース
荷物を背負うと、スラブのフェースがかなり厳しい。
P3 I 20m S原 リッジを渡る
P4 IV 40m N野 屈曲した凹角
ロープが1本スタックし、回収しながら登った。
P5 V 40m S原 凹角からハング乗越し
スタート左のリッジを乗越し、狭い凹角からギャップをまたいで浅い凹角を直上。最後のハングを右上に抜ける。

ドームの頭で終了。尖塔の間を通ってルンゼを降り、縦走路に出る。5分で下降点に戻って装備解除。稜線から横尾まで3時間で駆け降り、ランプを頼りに上高地BTまで。何とか当日中に帰京できた。途中横尾では、西穂から上高地に降りた筈のO川パーティーが、入浴を終えてまったりしているのに遭遇。あれれ??

滝谷の上部中央に位置するドームからは、各岩稜の荒々しい岩肌が見渡せ、確かに物凄い。その中でドームの中央稜は意外にしっかりしており、支点も多い。ルートもチムニー、スラブ、ルンゼからハングと続き、短いながらも多彩な高所クライミングが楽しかった。N野さんもV級のリードをこなし、ますます頼もしい。
下りの横尾本谷では、また屏風岩が見下ろしている。心なしか表情も柔らかく、「今度は登りにおいで」と言っているように見えた。

最近、ひと気のないアルパインが多かったので油断したが、当日のドームは何と計9パーティーが集中する人気ぶり。先行パーティーがもたついて、大幅に時間をくい、改めて早出の重要性を痛感した。おかげで両日とも予想外のボッカ訓練になってしまったが、文句も言わずに付き合ってくれたN野さんに感謝です。(記:S原)

〈コメント〉
滝谷の中では、一般道からとりつきまでが近くて、岩も安定していていいルートだよ、と聞いていましたが、そこまでのアプローチがきつい!自分の体力のなさを実感です。
S原さんと行く今年3本目の本ちゃんで、短いルートとはいえ、初めて本当に釣瓶で登る事ができました。今までは、厳しいピッチはみんなS原さんにお願いしていました。
ヘトヘトのアプローチも、駆け足のデプローチも、人だらけの涸沢も全部楽しめました。
今回も、ありがとうございました。(N野)

〈おまけ〉
今回意外だったのは、奥穂~北穂間の縦走路を多数の一般登山者が歩いていたこと。大キレットにも人影がたくさん見えた。某誌が特集したためか、明らかに準備不足の初級者が多く、事故も増えているようだ。実際、目の前で男性がもんどりうって縦走路から滝谷側に転落したのには、肝を冷やした。幸い怪我はなかったが、鎖場などで渋滞することもあるので、我々も気をつけたい。 (S原)

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