場所:トルコ アンタルヤ・Geyikbayiriの岩場、オリンポスの岩場
メンバー:S口、T沢(会員外)
■概要
昨冬スペイン・ポルトガルで一緒にクライミングしてきたT沢さんとトルコに行ってきた。
トルコのアナトリア半島(小アジア)の南部にアンタルヤAntalyaという海沿いの大きな街があり、そこから内陸側に20㎞ほど西に行ったところにGeyikbayiri(ゲイクバイリといった読み)という場所があり、今回のメインとなる岩場がある。
アンタルヤから70㎞ほど南に行った海沿いにオリンポスOlymposにもいくつか岩場があり、ツアー後半に訪れた。
トポ本は、A ROCK CLIMBING GUIDE TO ANTALYAという本で、2011年版のもの。
その後追加されたエリアやルート、グレード改訂されたルートについては、ゲイクバイリの中心にあるクライマー宿ジョシトJO.SI.TO GUEST HOUSEのサイトにアップデート版が載っている。
○アンタルヤ・ゲイクバイリの岩場について
先にトルコ入りして各地を観光して回っているT沢さんとはアンタルヤの空港で待ち合わせることにして、私は金曜日の夜にトルコ航空で成田を発つ。時差7時間を含め、イスタンブール経由で翌土曜日朝にはアンタルヤに到着。迎えに来たジョシトの車でゲイクバイリに行くと、岩場はキャンプサイトから近く午前中からクライミングが始められる。
アンタルヤ・ゲイクバイリの岩場は標高約500mにあり、段丘状になった地形で、その断崖にたくさんのクライミングエリアが拓かれている。岩質はスペインやイタリアの岩場と同じく石灰岩。
アンタルヤからの道路に沿ってメインセクターと呼ばれる東西2㎞ほど の大きな幕岩状の岩場があり、いくつものエリアに区切られている。洞窟状に凹んだ場所がいくつもあって、かぶったルートを楽しめる。メインセクターは南面しているので、晴れて陽射しがあるとこの時期でも暑過ぎるくらい。
ジョシトはその道路から南に下りたところにあって、ここゲイクバイリの中心に造られており、どの岩場も歩いて行ける。
ジョシトの裏手には小川が流れていて、その先にTREBENNAというエリアがある。ここはメインセクター以上に立体的な形状をした岩場で、洞窟状の中に一本柱状の岩が何本も立っている。北面していて終日日陰なので寒いけれど、焼き石がほしい冬の二子山に比べたら何でもない。立体的なクライミングが楽しめるゲイクバイリ屈指のエリアだ。
そのほか、ジ ョシトから南東に行ったところにアラバリクというエリアもある。アラバリク(魚のマス)の養殖しているレストランの近く。
ジョシトはバンガローがいくつかあるほかはキャンプサイトが広がっている。バンガローはトイレ・シャワーがないもののあり、その場合はキャンプ場の共同施設を使う。
管理棟兼食堂は、暖炉の火が温かくWi-fiもつながるのでビールを飲みながら過ごせる。朝食は8時からで4ユーロくらい。朝にその日の夕食を注文しておけば、疲れて岩場から帰ってきて18時から美味しいトルコ料理の夕食が楽しめる。夕食は8ユーロくらい。トルコのパンはこれまた美味しい。飲料水は、湧水から引いていて飲用可ということで、蛇口の水をそのまま飲める。ボトルを持参しよう。ビールは最も見かけ るエフェスEFES。支払いはカード不可で、ユーロまたはトルコリラ。
滞在中は雨に降られることもなく、滞在した9日間、私はレスト日も設けず毎日クライミングした。レンタカーで各地の岩場を巡った昨冬のスペインツアーと異なり、一か所にずっと滞在して、起床~朝食~周辺の岩場でクライミング~シャワー~夕食・ビール~寝るという、合宿のような生活パターンだった。
トルコ料理はヘルシーだし、岩場にいる日中は食事で余ったパンやオレンジを少し食べるくらいだったので、ついコンビニの菓子パンをパクついてしまう日本よりも私には健康的な食生活だった。毎日よく登ったこともあり短期間ながら少しダイエットできた感じ。
メインのシーズンではないらしいが、ヨーロッパからのクライマ ーがたくさんいた。この時期でこの気温を考えれば、5月など春はさらに暑過ぎるかもしれず、結果雨に降られなかった今回の時期選びは正解だったと思う。雨に降られても、かぶったエリアに行けば登れるとは思う。
訪れた各エリアの詳細については、トポ本の地図や写真付きルート図を見ないことには、文章だけでは想像しづらいと思うので書かない。
グレーディングについては、スペインの時と同様に二子山など日本の岩場よりは甘めといった感じ(というか日本がカラめ)。ただ、私が登った5.11~12台のルートがそのように感じただけであって、もっと高グレードのものや逆に易しいものが同様かは知らない。
前述のトポ本には、おススメ度を示す星印は記載されていないけれど、登ってみてこれは3つ星 だろうというルートがいくつもあった。同じグレードでも、ムーブが多彩で単調でないルートには星をつけたい。これからアンタルヤに行く人がいたら、参考までに登った範囲でお伝えできる。
スペインで訪れたエルチョロやコスタブランカの岩場も同じ石灰岩だったけれど、タイ・プラナンと異なりコルネが発達していなかった。ここはエリアにもよるがプラナンに近い感じでしっかり発達していて、立体的なクライミングが楽しめる点で、蒸し暑くて雨や蚊が多いプラナンよりも過ごしやすいかも。
30m前後のルートがたくさんあるので、60mよりは70mロープを持って行ったほうがよい。ボルトはしっかりした感じ。終了点は結び替えを要するものもおおくあるものの、カラビナがかかっているルートも多 い。ジョシトのスタッフが利用しやすいように順次カラビナに交換しているようだ。
岩場に向かう際にブッシュ帯を歩くのだが、葉や茎が固く尖っているためとても痛い。登る時は上裸になっても、移動の際は肌を出さない服装がベター。
○オリンポスの岩場について
アンタルヤで9日間ぶっ通しで登っていたせいか、最後の夜から体調を崩してしまった。お腹を壊してぞくぞく悪寒に振るえる状態で、ツアー10日目の朝、迎えに来た車でオリンポスに移動。幸いと言うかオリンポスは雨後でびっしょり濡れていたのでその日は宿のベッドでずっと寝て過ごす。
アンタルヤから南に70㎞ほどのところにあるオリンポスは、街そのものがどれくらいの規模なのかは通っていないので分からない。泊まった宿は Kadir’s Tree Houseというトポ本の裏表紙に載っている宿。海岸線から1.5㎞ほど中に入ったところにある。外観の雰囲気はあって安いけれど、設備はいまいちで部屋の壁も薄い。
宿と海岸の間にもいくつか岩場があるが、オリンポスに来たらジェネットCENNETという海を臨む岩場にはとりあえず行っておいたほうがよい。すっぱりと断ち割ったような垂壁でコルネもまるで発達していないけれど、オリンポスの岩場はここから開拓が始ったそうだ。
宿から海岸線まではダート道で小橋を渡ったりする。途中、柵に囲われた遺跡の入場料を取るゲートがあるが、そのあたりは河原に下りて巻いてしまえば払わずに済む。海岸線に出ると雪を頂いたオリンポス山(標高2,366m)が望める。浅い川を渡渉したりとジェネットへのアプローチ は初めてだと分かりづらい。この時は、宿に滞在中のデンマーク人女性の案内してくれたので行くことができた。
今回、私は5.11a以上のルートをあれこれ40本ほど登った。エリアがたくさんあるため、一つのエリアには基本的に一度だけか行っても二度しか行かなかったので、一日で完登できそうなルートを選んでトライしていたので、自身の限界グレードに近いものはやらなかった。オリンポスは数日いれば十分かもしれないが、アンタルヤには5.10台以下も含め良いルートはたくさんあるので、機会があればぜひ訪れてみてほしい。
○イスタンブール観光
ツアー13日目の朝、アンタルヤに戻ってからT沢さんと解散後、一人イスタンブールに移動し市内を観光してきた。山行報告なので、ブルーモスクや アヤソフィア、トプカプ宮殿といった観光名所のことは書かない。イスタンブールはボスポラス海峡を挟んでヨーロッパ側とアジア側にわかれている。道路やメトロで行き来もできるが、ヨーロッパ側のうち金角湾を挟んだ南の旧市街側からアジア側へはガラタ橋のたもとエミノニュから頻繁にフェリーが出ている(3TL)。また昨年開通したばかりの地下鉄マルマライ線もある。
アジア側の街カドゥキョイにクライミングジムがあると知り、観光の合間に行ってきた。ボルダーイスタンブールBoulder istanbulというごく小さなボルダリングジム。一日利用で14TL。テープ課題がきちんと設定されているワケでもないので、わざわざ行くようなところではないけれど一応紹介まで。ほかの国のジムがどうなっているかは知らないけれど、日本のジムはスタッフがたくさん課題を設定してくれているので楽しめるのだなと改めて実感。
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