鳳凰山 大武川 一ノ沢大滝 2011/1/8-9

アイスクライミング

◆N島昇

1月8日(土)

駐車場(8:20発)~(9:00着)一ノ沢出合~(13:20着)二股~(16:20着)1240m付近のテンバ

一ノ沢の沢登りは右岸左岸と渡渉を繰り返しながら遡行する。サビサビのハーケン2本で固定されたフィックスロープをごぼうで登って堰堤を超える個所がある。支点はいつ崩壊してもおかしくないようなものだが、フィックスに頼らないと登れない。

帰りはこの支点は使わずに倒木で懸垂した。釜があるチョックストーン滝は行きはたかまいたが、帰りは釜に腰まで浸りながら懸垂した。先にくだった人間が懸垂ロープを張っていれば続く人たちは濡れずに済む。2、3か所高巻きがあったが、初見でうまく巻くのはなかなか難しい。ほぼ廣川健太郎の記録通りだった。この日は二股から高巻きをして大滝直前まで稼いだが、翌日の行動を考えるとなるべく先まで行っておいてよかった。

 

1月9日(日)

テンバ(6:00発)~(9:30着)大滝(10:00登攀開始)~(16:00登攀終了)~(17:30懸垂終了)~(20:20)

テンバを過ぎてからはGPSトラックデータがほとんど録れなかった。衛星はずっとロストし続けるようだ。下の大滝を超えてもその後の小滝は全く凍っていなかった。大滝も凍っていないのかとぞっとしたが、行ってみると問題なく凍っていた。


1ピッチ Ⅲ N島 朝の1本目だということもあり、かなり怖かった。しかも途中でキジ圧がかかってきて落ち着かない。H明さん曰く上手い人ならフリーソロのピッチらしいが、今の僕には全く無理。ザイルは40mくらい伸びた。H明さんからスクリュービレイの打った場所に駄目出しされる。

2ピッチ Ⅴ H明 登攀自体は簡単だったが、なかなかいい氷がなくスクリュービレイのポイント探しに苦労したみたいだった。ザイルは45mくらい伸びた。

3ピッチ Ⅳ+N島 キジ圧がかかりながらも根性入れてリード。漏らしてもいいから落ちずに登ろうと思った。斜めトラバースなのでスクリューをこまめに取って登った。体感的には1ピッチ目とそう変わらなかったが、H明さんはなかなか難しかったと評していた。フォローもなかなか上がってこなかったし。ザイルを30mくらい伸ばして右側の灌木でビレイ。

まだⅡ級程度の氷が上部に残っていたが、ここから懸垂して帰った。懸垂はH明さんでも手間取るくらい難しかった。

1月10日(月)

テンバ(7:30発)~(9:00着)二股~(11:30着)一ノ沢出合~(11:50着)駐車場

予想通り帰りも結構時間がかかった。渡渉を繰り返し、要所で懸垂。渡渉にはアイゼンがあった方が楽なので、歩きづらいがフィックスロープがかかった堰堤を超えるまではアイゼンは外さない方がいいだろう。

積雪期の沢登りに慣れていなかったために、先週の塩沢では転びまくったが、今回はかなりマシになった。寝ている氷ならばほぼ落ちないと自信を持ってリードできるようになってきたのは進歩かもしれない。簡単なピッチならばまず初見でもリードできるだろう。もちろんスクリューでのテンションを交えながらの話だが。

帰りのチョックストーン滝の懸垂では釜に腰まで浸かったが、なかなか良い経験になった。次回からは釜に落ちる可能性があるときは面倒でもインナーと靴下を脱いで素足でプラブーツを履いて懸垂するようにしたい。一度、下界でそういう履き方の練習もしておこう。

帰り最後の堰堤を超えたあと、道路に出る方向を間違えていた。ちゃんとアプローチの時から帰りのことを考えながらポイントをチェックしていかないといけない。英明さんなんて一度行きをトレースしていたら、懸垂でもなんでも帰りは自信たっぷりだった。

廣川健太郎氏はこのルートを日帰りでやっているというのが驚きだ。僕らでは3日たっぷりかかるだろう。体力的にも技術的にもまだまだなんだなぁと実感した。

◆S藤H明

大滝は、まさに、天空から垂れ下がる一枚の白布といった感じでした。恐ろしくて直視したくない気分でした。黄蓮左の大滝×3本分ですから、そりゃーデカかったです。雪に埋まった付け根からだと170mもあるります。ザイル目一杯伸ばして3ピッチで抜けました。

復路、N島くんが、エメラルドグリーンの釜をドンブラと泳いでくれました。

<1ピッチ N島 40m> 左から行くと少し易しいが、敢えてか?何故だか?難しい右から攻める。恒例の実況連発。傾斜が落ちたところでスクリュービレイ。

<2ピッチ H明 45m> 下も上もスクリュー3本=6本でビレイなので、ランナーが残り10本しか使えない。難しくはないが、長いので疲れる。バイルを打った穴から冷たい水が吹き出し全身、氷の鎧を纏う。ザイルいっぱいギリで、ウス気味悪いモナカ氷になる・・支点が作れない・・股の下を見ると・・最後のランナーは遥か彼方・・落ちたら空を飛ぶ!・・スクリューを一本入れるもスカ氷を貫通して噛まない、死んだ気で4手ほど上がって、かろうじて硬い蒼氷に辿り着く。長時間のハンギンクビレイは芯まで冷える。アイスは辛い。早く暖かいサウナにでも入りたい気分だ。

<3ピッチ N島 40m> 出だしの横トラバリは極めて恐ろしい。続くバーチカルは、右手がシャンデリアの引っ掛けのため緊張する。N島くん、難しいところのスクリューは自ずと多めだが、傾斜が落ちた途端、過激なランナウトとなって左岸の灌木でビレイ。その先は、寝たナメ氷が20mほど続くがⅡなので、パスしてとっとと懸垂にかかる。

<懸垂下降> 左側の灌木帯を4ピッチ下降する。もしも、ザイルが抜けなくなったら・・壁に孤立したままの楽しい一夜、じゃー済まないので、短め、短めに切る。最後の方は暗くなってしまって、下が見えないのでドキドキする。比較的、巧みに繋いで無事着地する。

<沢の下降> アプローチで巻いたり、ダブルアックスで登った滝は概ね懸垂する。着地点がドンブラ釜のコバルトブルーの滝は、N島くんが、先行して勇猛果敢に泳いでくれた。おかげ様で、私とM恵さんの後続は(振り子で)なんとか水没を回避できた。冬の水泳も楽しいもんです。

 

◆H口M恵

一ノ沢のことをネットで調べたが、10年前のヒロケンのものくらいで、めぼしい資料は殆ど無い。これはあまり人が入っていない証拠だ。取り付くまで大変なのだろう。覚悟して入山。

前の週の塩沢は同じく沢を辿っていくのだが、傾斜がゆるく河原歩きというところだったのだが、一の沢はほんとに本格的な沢登り。夏だったらいいが今は厳冬期で足回りはアイゼンと登山靴だ。雪はあまり無く、石の上を渡っていくのはバランスを取るのが難しい。ドボンと濡れては一大事だし神経が疲れた。

次の日、大滝に着くまでに所々現れる小滝はじゃーじゃー水が流れているは、ロープをだしての高巻きがあったりと、なんだかんだ時間がかかった。で、着いた大滝はしっかり凍りついていた!

 

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